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グリフィンドールに行くならば
勇気がある者が住まう寮
勇者果敢な騎士道で
他とはちがうグリフィンドール

ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で苦労を苦労と思わない

古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう

スリザリンではもしかして
君は誠の友を得る
どんな手段を使っても 目的遂げる狡猾さ

被ってごらん!恐れずに!
興奮せずに、お任せを!
君を私の手にゆだね(私は手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!




何千本の蝋燭が空中に浮かび、4つの長テーブルを照らしていた。上級生は既に各寮のところに座っており、広間の奥に生徒たちと同じように長テーブルが置いてあり、そこには教師が座っていた。
そして、組分け帽子が歌い終えると広間にいた全員が拍手喝采をした。




「ユリの言った通りだ。フレッドのやつ、後でやっつけてやる。トロールと取っ組み合いさせられるなんて言って」




ロンはハリーにささやいたが、ハリーは緊張で弱々しく微笑むことしかできなかった。




「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子を被って椅子に座り、組分けを受けてください──アボット・ハンナ」




マクゴナガルは長い羊皮紙の巻物を取りだし、そこにABC順に名前が書かれてあるので1人ずつ読み上げた。まずは、ピンクの頬をした金髪のおさげの女の子が椅子に座って帽子を被った。組分け帽子は一瞬黙り込んだ後「ハッフルパフ」と叫んだ。ハンナは帽子を取り椅子から立ち上がってハッフルパフの机に行った。ハッフルパフもまた彼女を歓迎した。その後も次々と名前呼ばれて組分けされていった。そして、次に呼ばれたのは───




「ハリー・ポッター」




彼の名前が呼ばれると空気が変わり一気に静まり反った。ハリーはそんな空気に少し苦痛を感じたが、恐る恐ると椅子に座り帽子を被った。




「(ハリー、大丈夫かな)」




ユリはハリーを心配した。もちろん自分もハリーと同じ状況だったら苦痛で仕方ないであろう。しかしながら、組分けには時間がかかっているようだ。




「スリザリンはだめ、スリザリンはだめ」

「スリザリンは嫌なのかね?」




組分け帽子が言った。ハリーはスリザリン以外ならいいと心から願っていた。だが、組分け帽子はスリザリンに入ったら偉大になる道が開けると言ったがハリーはそんなの望んでいなかった。そんなハリーの強い思いに答えてこう言った。




「君がそう確信しているなら──グリフィンドール!」




と叫んだ。グリフィンドールの寮生たちは今まで以上に盛り上がった。ユリはふとグリフィンドールのところを見ると、フレッドとジョージが「ポッターを取った!ポッターを取った!」と歓声を上げていた。パーシーも思わず立ち上がってハリーと握手を交わしていたのを見て思わず笑みがでた。その後も次々と名前が呼ばれていよいよユリの番になった。




「ユリ・シルフィ」




マクゴナガルに呼ばれてユリは椅子に座り帽子を被った。どの寮の机からも彼女の美貌に惹かれ先ほどのハリーと同様に静まり返ってしまった。




「おや、シルフィ家の子だな。うむ、君は頭悪くもない。むしろ賢い方なんだがレイブンクロー向きではないな。そして、温厚で和やかな君はスリザリンにも向いていない。だが、勇気な心が密かに潜めている。これを伸ばしていくためにはここの寮が一番ふさわしい─────グリフィンドール!!」




グリフィンドールはまたまた盛大に喜んだ。ハリーもロンも嬉しそうに笑っていた。パーシーも思わずユリに抱きついた。双子はユリがグリフィンドールになるのは当然だと騒いだ。そしてユリをフレッドとジョージの間に座らせた。その後も次々と組分けされていった。ロンも無事にグリフィンドールに入ることができて、ほっと一息した。ようやく組分けが終わり、テーブルにたくさんのディナーが並んだ。ソーセージに、ローストビーフ、豆やにんじんなど何故かハッカ入りキャンディーもあった。




「ユリと同じ寮で良かった」

「寮が違ったら意地でもその寮に乗り込もうとフレッドと話してたんだよ」

「二人ならあり得る。でも、こうやってパーシーとロンとフレッドとジョージと寮も一緒だなんてなんかこう不思議だね」

「確かにな。でも、俺たちはユリと離れるなんて考えもしたくなかったさ」

「4歳の頃から一緒だったからな。今さらユリと離れるなんて無理な話だぜ」




ユリも二人と同じ気持ちだった。もしも、ユリがグリフィンドール以外の寮だとしたら───考えるだけで嫌だった。特にスリザリンなんて真っ平の御免だ。それにユリの実の父親も母親もグリフィンドールだったからユリ自身も入るならグリフィンドールがいいと思っていた。




「(フレッドもジョージも一緒でよかったけど、やっぱりロンと一緒の寮になれてよかったわ)」


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