第一章
04「……少将に? 私が?」
「ああ、……先日の作戦の一部は、お前の能力がなければより困難なものになっただろう、その功績を加味してだな」
平常であればこんなにも嬉しい話はないというのに、私の心は沈んだままだった。それでもその理由を
まだ元帥であるセンゴクさんに話すのも
憚られ、気まずさに目を逸らしながら「でも」と私は言葉を続ける。
「私……何もできてません、みんなが命をかけて戦っていたのに、飛び回るばかりで、何も……」
「そういう役目がお前にはあるということだ。……先の戦いで中将クラスにも欠員が出た、補充という意味合いでもこの昇進は受けてほしい。なにより、推薦した私の顔を立てると思って」
それを言われると私が弱いということはよく知っているのだろう。わかりました、ありがとうございます、と深々とお辞儀をして、私は彼の執務室を後にした。部屋を出る直前、彼が「もし何かあるのなら、なんでも相談しなさい」というのが聞こえた。優しい声だった、小さい頃から、何度も聞いた……。
私は——返事をすることが、できなかった。
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