# 04
目覚ましはかけずとも、毎日のルーティン故にどうしても目が覚める。
体を起こし、カーテンの隙間から入り込む朝日に目を瞬かせながら周りを見渡す。
見慣れぬ光景に首を傾げ、ああそうだ治さんの家に泊まったんだと思い出してあくびを一つ漏らした。
昨日は双子にそれぞれキスをされ、何なら舌まで入れられて、心臓が壊れるんじゃないかと思うほどドキドキさせられた一日だった。
あの後すぐに帰ってきた侑に内心動揺しながらも、冷たい水を一気に飲んでしらを切った。なんとかやり過ごせたかなとは思う。
しかしあと5分早くあの扉が空いていたら?確実に見られていた。
キスシーン、というよりあの時日向の下半身はしっかりと反応していた。
立ち上がった状態ではハーフパンツを押し上げ主張するそれをばっちりと視界に収められていた事だろう。
(キスがあんなに気持ちいいなんて知らなかった…)
つい思い出して、顔に熱が集まりそうになり慌ててやめる。
「朝起きてすぐ百面相て、おもろいなあ翔陽くんは」
いきなり横から聞こえてきた声に、びくりと体を揺らした。
声の方向を向くと、同じように起き上がり少し寝癖のついた髪の毛をいじる侑がこちらを見て笑っている。
「おはようさん翔陽くん」
「お、はようございます」
後ろから足音が聞こえて、振り返るとそこにはすでに着替えた治がいた。
「日向起きたんか、おはよおさん」
「おはようございます。治さん早いですね」
「店開ける日は朝早いからなあ、癖で起きてまうんや」
そう言いながら、日向の頭を一つ撫でる。
「今日も走りに行くんやろ?朝飯準備しておくから早よ行ってき」
いつものトレードマークのような帽子はなく、治の微笑みがもろに視界に入る。
優しく笑う顔に心がきゅうとなり、慌てて目をそらすと反対側の侑と目が合う。
「俺も行くから安心してええで、翔陽くん。土手んとこ気持ちええから案内したるな」
にっと笑う侑にまたもや心臓が苦しくなる。
ここにいたらいつか心臓が止まってしまうんじゃないかと、そんな杞憂を持て余しながら布団からでようとして、日向は動きをぴたりと止めた。
そっと布団を持ち上げ下半身を見ると、たっている。
何がなんてナニしかない。
日向とていい成人男性なので、朝のそういう現象がないわけではない。しかし毎日あるものでもなかった。
なのに、今日、こんなタイミングでそれは完璧に主張している。
絶対昨日のキスのせいだと、仕掛けてきた二人に思うところはあるがとにかく今はここを出れない。
「翔陽くん?どないしたん?」
起き上がり、布団を畳む侑がなかなか出ようとしない日向に声をかける。
「えと、もうちょっとごろごろしたい、かな、なんて…」
だんだん尻すぼみになる声。相手は侑だ、こんな下手な言い訳でやり過ごせる訳がない。
この布団を剥ぎ取られたら見られてしまう。
どうしようと青い顔をしながら頭を悩ませる日向を横目に、侑は表情は特に変えず「ん」と、一つ頷いた。
「そしたら俺、洗面台先使うわ」
そう言うと、侑はあっさりとその場を後にした。
ぱたぱたと遠ざかる足音に、ほっと一息つく。
まさか追求されないとは、まあ朝だし、俺の演技力もなかなかだったのかも。
日向はそう独り言ちながら、もそもそと布団に入り込んで、まさかここでスッキリするわけにもいかないからとひたすら心を無にした。