# 04


ここ最近ずっと治さんからのそういったお誘いを何とか躱して、身体を作り上げた結果──

「どうですかっ!?」
「おお〜戻っとる! てか前より仕上がっとるんちゃう?」

俺の身体をまじまじと見て感心したように言った侑さんに、思わずよっしゃ! とこぶしを握った。
これでいつでもバッチコイだ!


……一度、お風呂上がりに「やっぱり、前とちゃうやんな……」と自分の手を見つめながら治さんが漏らしていたのを聞いてしまった時。
手をじっと見つめながら呟いた治さんに、やっぱり治さんも、触れることで俺の身体の変化に気づいていたのだと、違和感を感じていたのだと、火照っていたはずの身体から一気に熱が下がるような気がした。

思わず声が漏れた俺に慌てたように振り返った治さんは、俺に聞かれているとは思ってなかったんだろう。顔にしまった!と書かれているのを、俺は呆然として見ていた。
それでも何を言うでもなく「俺も風呂入ってくるわ」と俺の横をすり抜けていく治さんに、力なくハイ、と返すしができなかった。
お風呂から上がれば何もなかったような治さんに俺は胸をなでおろしたんだけど、その日以降、より一層トレーニングに熱が入った俺を、侑さんは何とも複雑そうな目で見ていた。



──そんな風にヒヤヒヤする場面もあったけど、これでいつでもバッチコイだ!
最近俺がお断りする度に眉間に皺を寄せていた恋人を思い浮かべながら、俺の心は弾んでいた。


「あー……翔陽くん?」
「なんですか?」
「お喜びのところアレなんやけども…なんか、ゴメンな……?」

おずおずと謝ってくる侑さんに首を傾げる。
太った? って発言に対してなら、言われたおかげでこうして身体を絞ることもできた訳だし、おかげで今身体が軽い……! 前よりジャンプも高く飛べてる気がするし、むしろ感謝したいくらいだ。
そう告げれば、侑さんは何とも歯切れが悪そうに「それもあるんやけどぉ……」なんて手を揉んでいる。

「? 他になにかあるんですか?」
「ん〜……ちぃと楽しみすぎたって言うか追い詰めすぎたって言うか……」
「???」
「絶対反動デカいんよなぁ……あいつ、ムッツリやし……」

漏らされた呟きに、あいつ? ムッツリ? って首をひねるけど、侑さんは俺の肩ポンと叩いて、まぁガンバレ!ってやたらといい笑顔で親指を立ててくる。
ガンバレとは……? 何から何まで理解ができない俺を置き去りに、ほんならお先〜、と話を切り上げた侑さんはさっさとその場を後にしたのだった。