◇ 4 ◇


――2日目 10:24

 しばらく練習して、休憩をとっていた時だった。
「先生、あの、日向の住所教えてもらえませんか? やっぱり気になっちゃって」
「菅原君……そうですね。分かりました、なら車を出しましょう!」
「えっ! そんな、いいんですか?」
「もちろん! 日向君のことが気になるのは僕も同じですし、なんならこれからすぐ行っちゃいましょうか。いいですよね烏養君?」
 ありがとうございますという礼を口にすると同時に、腰を折って頭を下げた。
 武田は当初から、技術面以外のことなら全力でサポートすると言っていた。口だけ立派な教師というものには散々会ってきたが、彼の場合は本当に実行する。成田はそこに、非常に好感を持っていた。
 武田先生が顧問でなかったら、今の烏野は存在しなかった。そう断言出来る。
「はいはい! タケちゃん! 俺も行きたい!」
「俺も!」
 日向に会いにいくと言い出した途端、部員ほぼ全員が手を挙げた。なんかこういう芸人のネタあったなとぼんやり考えていると、烏養がストップをかける。
「車っつったって、流石に全員は乗れねえだろうが! 第一練習どうする気だお前ら」
「そうですねぇ。あまり多いとご迷惑になりますし」
「つーわけだ。代表決めろ!」
 話し合いか……じゃんけんか……いっそミニゲームやって……などと呟きながら部員同士顔を見合わせる。どの方法を取る気だろうかと観察していると、何かを思いついたらしい烏養がそうだ、と口にした。
「菅原は言いだしっぺだから決まりだな。んで、菅原が行く以上は澤村、お前は残れ」
「はい」
「んで、田中と西谷、お前らは行かせねえ」
「なんでっすか!」
「やかましいからに決まってんだろうか! 人様んちで大人しくしてられんのか?」
 烏養の言うことはもっともだと思ったが、そう問われて押し黙るのもどうなんだ。長くても1時間くらい大人しくしていればいいだけじゃないのか。そう思ったけど口にはしなかった。
「あーあとセッターいなくなると困るから、影山も残りな。日向とセットだと煩くなるし」
「……ウス」
「マネージャーもいてもらわないと部活回んないしな」
「はっはい!」
「それ以外だ。それ以外で決めろー」
 まだ名前が上がっていないのは、東峰と縁下、木下、成田、山口、月島。誰が行っても問題ないだろう面子が揃っている気はした。
「まず旭は高校生に見えないし、怖い顔してるからダメだろ?」
「ちょっ大地?」
「あと田中、西谷が残る以上、2年生には残ってもらいたかな」
「二人のお守りですね、分かりました」
「お守りとか言うんじゃねえよ縁下テメェ!」
 話し合いというか消去法か。結構早く話がまとまった。残されたのは月島と山口の二人だけ。
 夏合宿中、月島は日向と行動を共にする機会が多かったらしい。しかし、別に仲良くなったつもりはないのだろう。少し面倒くさそうに、ため息をついていた。
「じゃあスガと月島、山口の3人な! 頼んだぞ!」
 有無を言わせぬキャプテンの言葉に、渋々といった様子で頷く。
 場に残った成田たちは、水分補給をした後、練習へと戻った。