# 03
なんとかトークショーにも間に合い、その後は予想通りの忙しさでファン感謝祭は進んでいった。
トークショー、じゃんけん大会と来て、今はサイン入りチームグッズなどが貰えるプレゼント大会をしている。日向はユニフォームにジャカ助の耳カチューシャをつけ、見事にプレゼントを当てた人に景品を渡しに行く係をしていた。
「翔陽くん」
プレゼントを渡し終えたあと。聞いたことがあるような声に呼び止められ、日向はグリンとそっちの方向を振り返る。
するとそこには、フラフラ手を振る宮治と、見覚えのある稲荷崎の面々が固まって座っていた。
日向はびっくりしつつ、ぴょこぴょこと彼らに寄っていった。
「治さん!? チワッス! 皆さんも。来てたんですね!」
「おん。毎年ツムが馬鹿するのを見に来てんねん。にしても、翔陽くんのバブリー見られんで残念やったわ」
「俺入ったばかりなんで!」
「そんでも踊ってたら俺票入れてたで? ま、踊ってなくてもいれたけどな。来年楽しみにしてるわ」
軽快に言葉を交わす日向たちを、ビールを飲んでいた尾白アランが物珍し気に見た。
「お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったん?」
「あのポンコツの相棒同士気が合うんよ。な?」
と目線を寄越され、ポンコツはよく分からなかったが、気が合うのは確かなので日向も「ハイ!」と元気に返す。実際、チームメイトの宮侑と仲良くなる時に侑の双子の兄弟である治とも仲良くなり、栄養学的な話でよく相談にのってもらっているのだ。はじめは怖いと思っていたが、今や仲のいい年上のお兄さんのような存在である。
尾白はうんうん頷く。
「仲いいことはええことや。ちゅうか、自分。ブラックジャッカルに入ったんやな」
「は、はい!」
「俺もD1のチームにおんねん。試合楽しみにしとるわ。頑張ってな」
「っはい! アザッス! 頑張ります!」
「侑、ポンコツやけど嫌わんといてな」
「根っからのバレー馬鹿やねん。アホなこと言ったら遠慮なくしばいたってええからな、よろしくな」
「ウ、ウッス!」
相変わらず心臓がひゅっとする顔の大耳練と、春高で相対した時にリベロだった赤木路成にも声をかけられる。嬉しいやらちょっと怖いやらで、日向はビッ! とすくみ上がった。
が、そこで三人が「ほら。大耳の顔が怖いからビビっとるで」「すまん。……俺はいつも他人を怖がらせてしまう」「いや、漫画の主人公かーい!」とワイワイガヤガヤし始めて、侑さんが沢山いる! と日向は我慢できずにふき出してケラケラ笑った。
「そろそろ戻らんとあかんのちゃう?」
「あっ、そうでした」
一緒に笑っていた治に言われて日向はハッとした。
「仕事の邪魔してすまんな。せや、ツムには俺らが来たこと黙っといてな。バレたら次から来れんくなるから」
日向は「了解です!」と、治に頷き返す。
「ほな。またオフの日にでも店顔出してな。――あ、そや。もう一個」
「はい?」
来い来いと手で招かれてスススと寄る。
「……ツムの奴。なんか企んどる顔しとんねん」
「侑さんがですか? いつも通りでしたけど……」
侑は今裏で休憩しているはずだが、プレゼント大会前に会った時はいたって普段通りに見えた。
「いや、あれはなんかやる。よう分からんやろうけど、巻き込まれたくなったら気をつけとき」
「……?」
日向は首を傾げたが、そこで司会から「ジャカ助2号〜戻ってこーい」とお呼びがかかったので、慌てて4人に頭を下げ階段状の客席を駆け下りた。