有古、気づく
――俺には……俺たちには、好きなやつがいる。
しかも恐らく、同じ相手。……直接聞いたわけじゃないから、想像でしかないのだけど。
「ほら、急がなくていいから」
そう微笑んだ菊田部長の声色が優しいのはもちろん彼女にだけじゃない。それでも特別
そうだと思わせるくらい、彼の態度は俺と同じだった。
そう、俺と。
「俺が持つ」
同期である彼女が手にしていたダンボールに手を伸ばし、決して軽くはないその荷物を受け取った。「ありがとう」というお礼の言葉と共に向けられるその笑顔が、俺は何より好きだった。きっと、菊田さんも同じなのだろう。
――どうするべきか、俺は迷い続けている。
(この気持ちを伝えるべきかどうか、……俺は、この先どんな顔をして二人と関わるべきなのか)
彼女は勿論のこと、俺にとっては菊田さんも大切だ。そういう意味ではなくとも、良い上司、良い同僚として、二人は大切な存在なのだ。
それが、俺の気持ち一つでおかしくなってしまったら。……そう考えると、らしくもなく足がすくむのだ。
(それでも、捨てることはできない)
――どうにもできない気持ちと状況を抱えたまま、俺は今日も二人と同じ時間を過ごしている。