稀にオリキャラ暴走で手に負えなくなる事がある

◼︎


「「行き止まりィイイ!?」」

そんなことある!?こんな都合良く行き止まりでてくる!?目の前の壁に銀さんと2人して唖然として見上げていると、後ろで荒い鼻息。恐る恐る振り返ってみると、殺気と熱気の塊がそこにいた。

「やーっと追いついたわよう万事屋さん」
「ご、ゴリラ…」
「そこのアンタね。万事屋さんを唆してるっていうメスブタは」

ギロリと睨まれた。けど、怯んでたまるもんか。

「…だったらなんだっていうんですか」
「私と万事屋さんの未来の愛を育むため…いえ、真っ白い天然パーマの未来の子どものためにも今ここで危険因子は消させてもらうわぁ」
「え?普通にお前の遺伝子の方が打ち勝ちそうなんですけど…」
「なによう照れちゃってェ」
「照れてない照れてない。1ミクロンほども照れてないから」
「じゃあナノメートルほどは照れてくれてるのね嬉しい」
「いや、むしろピコメートルほど」
「じゃあフェムトメートルくらいね」
「いやいやなんならアトメートル…あぁぁあしつけェエエエ!!なんの会話コレェ!?」

…もはやアンタたち本当に息合ってるんじゃないの?
無意識にそう冷ややかな視線を私が送っていたのか、銀さんが「違うから!断じて違うから!」とか何を焦ってテンパっているのかわからない天パを見る。もうこの際火種撒いたからにはある程度は自分で回収しなさいよ。

その間にもメスゴリラはここぞとばかりに私をディスりまくってきた。

「そんな軟弱そうな小娘の遺伝子に比べたら私の方がずっと優れてるわよ」

「安心してね、最強の子ども産んであ、げ、る」

「大体そんな貧乳のどこがいいのよう!ボリュームなら私の方が負けないわよう!!」

もはや言いたいこといい放題な目の前のメスゴリラにぷつん、と何かが切れた。待て待て、落ち着け私の拳。走り出そうとするな私の足。

「…だったら…」

しかし、手足を落ち着けようと集中していたら、あろうことか今度は口が先に走り出してしまった。

「だったらその軟弱そうな小娘から奪ってみたらどうですか」
「はァ!?な、何を言うのアンタ…っ!ムカつくぅー!」
「他人の悪口ばっか言ってないで女は正々堂々と自分を使って勝負しろってんですよ!!」
「ーーえっ!?」

隣にいた銀さんの胸倉を掴んで引き寄せ、突然引っ張られて驚いているアホ面の唇をとらえる。
ちょっと勢いつけすぎて唇越しに歯が当たり、その痛みで急に自分がしでかしたことの大胆さに気付いた。

そっと銀さんから顔と手を離す。

「お、まえ…っ!」
「……わ、私がぎぎ銀さんのカノジョ、ナンデスカラ!」

き、決められなかったァアア!

やけにたどたどしくぎごちない、自分の口から出たとは思えないスーパーダサい決めゼリフに顔が熱くなる。あああああ穴があったら入りたい!何してんだ私!と頭の中大パニックのまんまメスゴリラを睨む。

すると、突然メスゴリラは脱力したかのように地べたに座り込んでしまった。次に顔を上げた時には、それまでの凄みが抜け落ち、何が起こったのかわからないような表情を浮んでいた。

「…アラ、なんか分かんないけど急に万事屋さんの興味が冷めちゃったわ」
「「え??」」

「やーね、私ったら何してたのかしら?まぼろしー?」とかなり本気のテンションで首を傾げるメスゴリラ。

「万事屋さんに何か依頼しようとしてたんだけど、忘れちゃったわー」
「…あーっと、おかえりは彼方の出口ですぅー」
「あら、ご丁寧にどうもー。また後日改めてお伺いするわ」

銀さんがしれーっと走ってきた路地裏の道を指差すと、メスゴリラは驚くほど素直にそれに従って帰っていった。

え?何この展開?私、頑張った意味あった?

「ぶはっ」

横にいた銀さんが突然吹いた。見上げるともンのすごく笑いを堪えていらっしゃる…。

「な、なんかすいません…?」
「いや、オメーからされんのは願ったり叶ったりだわ」

笑いを堪えてる銀さんにポンポンと頭を撫でられながらふと考えた。あれ?違うよね?これ私謝る立場じゃないよね?

頭を撫でてきた銀さんの手がそのまま後頭部に回り、ぐっと力が込められて銀さんに引き寄せられる。

「いやこれどう考えても私が謝る立場じゃない」
「ぶごお!!お、おまっ…!今の雰囲気で正拳突き!?」
「厳密に言えば掌底打ちですね」
「どっちでもいいわァ!!待て待て待て待て一応彼氏!な!?」
「彼氏が自分の女に薬盛るかってんですよ」
「銀時くーん!名前殿ー!無事だったかー!?」

銀さんの胸倉に掴み掛かると、メスゴリラが立ち去っていった方向から桂さんの声が聞こえた。
そちらを見ると、桂さんは狭い路地でメスゴリラとすれ違うところだった。のだが、桂さんはメスゴリラを上手く避けれずに地面に突っ伏す。

パリン、て一瞬聞こえた音で、辺りに静けさが包み込んだ。

ジーザス。


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