side story

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理吉の声を聞いてからその直後のことだった。


「ちょっ……待てェエエエ!!来んな!小僧こっち来んな!」


坂田さんが突然血相を変えて理吉の方へ向かって叫んだ。何事かと思えば、理吉の上空から降ってくる飛行物体が視界に入る。機体の端から煙が噴出。
ーーーまさか、
嫌な予感が過ぎる。

「り、理吉…!」
「#name1#!落ち着け!」
「っ」

駆け出そうとしたところをエドが私の腕を掴み、持っていた機械鎧が落下した。そこでハッと我に返る。不意にこちらを見る坂田さんと目が合った。

「ファースト、大人しくしとけ。ガキは助けといてやっから」
「坂田さん!!」

駆け出した坂田さんの背中が次第に遠くなっていく。

わたし、そうか…。今ここを出て行ったらもうアメストリスには。でも、あのままだと理吉と坂田さんが。選べるのは二つに一つ。分解は膝下まで来ていた。時間の無さに冷静さは欠け落ちていく。
どうする?どうすればいい?どうしたら…!!


ーーーバシン


足元の錬成陣からとは違う、耳元で聞こえた錬成音。それから体内を駆け巡る電流。

「え」

その音の正体を確かめる前に私は何かによって力強く身体を押される。受け身も取れずに地面に尻餅をつくと、分解されていたはずの足先が元に戻っていた。
すぐさま目の前を見上げると、身体の分解が進むエドが尻餅をついたままの私を見て笑っていた。機械鎧の控えめな軋み音が、私の戸惑う心を表現しているようにも聞こえた。

「行ってこい、ファースト大佐」
「エ、ド」
「ウィンリィのことは任せとけ。俺が助ける」
「でも、」
「錬金術師よ大衆のためあれ、だろ」

金色の目が優しく細められた。途端に私は弾いたように駆け出す。

「ありがとう!元気で!」
「お前もなー!」

久方ぶりに取り付けられた無機質な腕を持ち上げ、両手を合わせ地面に両手をつけると、大地は生き物のように蠢く。

間に合え…間に合え!!

「銀さァアアん!!」
「銀ちゃぁあん!!」

暴発音の後に神楽さんと新八さんの悲痛な叫びが響いた。


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