続きが気になる所で終わる展開めっちゃ便利

◼︎


重なった唇を離してファーストの顔を見た瞬間、率直にマズったと思った。

「坂田さん?あの…?」
「やっべー…」
「?」
「もっかいいい?」
「え、……んっ!」

柔い唇の感触の味を覚え、上目遣いで恐る恐る俺の顔色を伺うファーストにおかげさまで俺のなけなしの理性は一瞬で吹っ飛んだ。

「さ、かたさ…んんっ」

一度触れたときに吸い付くような柔さと質感の味を占めた俺は気付けば貪るようにしてまた食らいついていた。時折り溢れる艶かしい声も全部全部余すことなく食い尽くすように、らしくもなくがっつく。

鼻から息を吸えばファーストの香りで肺が満たされ、腰のあたりに微かな痺れが走る。頑なに閉ざし続ける唇にそろそろ突っ込みたい欲の限界が近くなるもんだから、顎を掴んで無理矢理こじ開けて舌を捩じ込んでやれば苦しそうなこいつの声が鼓膜を揺らした。

少し口元を離したスキに目を開けばぎゅっと目を閉じて耐えるファースト。あ、まつげ長ぇ。あーこりゃ五感で堪能してる気分だ。

…そう言えばこいつビール飲んでたっけ?にしても甘ったるいな。小さな咥内を舌でぐっちゃぐちゃに嬲ればファーストが逃げようと首を引いた。
いや、ちょっと思い交わしたばかりにしては重いよねごめんね。

まぁ、引いたところでてめーが錬金術で作った扉に当たるだけで逃げ道はねェし、こちらとしてはより深く堪能できて役得しかない。

性急で申し訳ねェ気持ちもあるんだが、惚れた女を手に入れられたんだ。求めて何が悪いってんだよって開き直らせてもらう。
いや、でも流石にこれは余裕がねェと飽きられるかも…。天使な俺と悪魔な俺が頭上で喧嘩し始めつつも、身体だけは随分馬鹿素直なもんで。片手はファーストの細腰にまわり、顎を掴んでた手は脇下を潜って背中の首下辺りにまわっては、より近くになるように密着させる。
こいつは天使が負けたらしい。

「ん、…ふっ……っ…」

相当苦しそうな声になんとか自制心を取り戻し漸く唇は離せたが、ふと視界に入った呼吸に合わせて動く首筋に見惚れ、気付けばまた唇を寄せていた。

「ま、待って、坂田さん…!」
「無理」
「落ち着いてください…!」

あーこらこら、ここまで触れると流石にそろそろ歯止め効かなくなるぞどうすんだ俺。でも柔らけェし良い匂いだしで止めたくねェ…。

俺を追いかけるために走ってきたからか首筋はしっとりしていて、長いキスで呼吸を乱すファーストのその様子はどうしてもアレの最中を連想させてきてたまんねェ。

どうしてやろうか、跡でも残しちまうか?芽生えた悪戯心をどう処理させようか企んでいりゃあ、不意に視界に入ったのは治りかけの歯形。そいつは前に俺が噛み付いたやつで…、罪悪感を感じてそっとそこに触れる。

「ん、…っ」

気付けば色気のカケラもねぇ作務衣の紐を解いて、中に着ていたタンクトップの裾から手を突っ込んでいた。

薄い腹を弄ってはファーストの肌の感触を堪能する。いや、さっきの罪悪感どこいったよ。この辺にしてやろうかと思ってたのにすげぇな…、銀さんこんなに欲求不満だっけ。

引き締まった感触のある横腹からするっと上に滑らせれば肋骨らへんに手が触れ、その形をなぞる様にして指を滑らせた。

「坂田、さん…!」
「ん?どーした?」

切羽詰まったように俺の名前を呼ぶファーストに唇を寄せる。あーその坂田さん呼ばわりやめさせねーと。

「はっ…」
「は?」

パリと小さく電気が走るような音が聞こえた気がして少し身体を離す。えーとこれなんだっけ、なんかこれ聞き覚えあるんだけどなんだっけ。

「歯、食いしばってくださいね!」
「んがっ!!!」

いつの間にか両手を合わせたファーストは背後にあった扉に手をつけると壁から拳が飛んできた。いや、歯食いしばる余裕もないくらい一瞬なんだけどなにそれ。

それを最後に目の前が真っ暗になった。え、こんなのってアリ?


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