同期の桜 - 三好
夕日に透けて赤く染まった桜は、どうにも好きになれない。これは腸の色だ。桜の樹の下には……とはよく言ったもので、死んだ彼奴の唇の色によく似ている。自信家で傲慢で、プライドが高く、自負心そのものが歩いている様な。それでいて、実力が伴っていたのだから、殊更に腹立たしい。
彼奴はスパイとして完璧な死を遂げた。彼奴の存在は、死を似ってして完成してしまったのだ。
それでも。なぁ、三好。結局のところ、俺たちは英霊に成り損なった、同期の桜でしかなかったんだよ。
- 22 -
*前次#
短編 トップページへ