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「太宰くん、織田作さん。いつか時代が変わって特務課もポートマフィアもない、我々がもっと自由な立場になったら、また」
「誰か死んだの?それとも、そこのハリー・ポッターが今から死ぬの?だったら死体は埋葬にして。私が掘り起こして有効活用するから」
「いいや、誰も死んでないし、多分、火葬になると思うぞ」
「何だったら、今から私と心中する?」
「太宰くんは黙っててください。それから、私はハリー・ポッターではありません。魔法は使えませんから」
「異能力なんて持ってる人間、私からしたら魔法使いみたいなものなんだけど。あとツッコミが追い付いてないね」
「私ひとりでは捌ききれませんよ、暗器大王。ところで恋人を迎えに来たのでは?」
「君は私のことを知っているのに、私は君のこと知らないな。恋人はサクさんに奪われてる」
「坂口安吾です。異能特務課のエージェント」
「エージェント!007みたいな?指紋認証付きのワルサーとか持ってたりするの?」
「アレは大衆映画ですよ。現実ではあんな優れもの、中々手に入りません」
「それもそうか」

 にしても暗器大王だとさ。仕事のときくらいしか呼ばれないんだけど、この人はどこのルートだったかしらん。まぁ、どうでもいいけどね。というか。

「私の恋人を返してくれないかな、サクさん」
「お前は銃が恋人なのか?」
「仕事上の相棒になることもしばしば」

 サクさんはカウンターにごとり、とダブルイーグルを置いた。シルバーの銃身が淡いオレンジの光を放っていた。

「こんな武骨な男の手に握られてたなんて、可哀想に……私がしっかり手入れしてあげよう」
「斎ちゃんは、仕事熱心なことだねぇ。ウチに来る予定とかは?」
「今の所、父が残した僅かな糸を紡いでる途中だからなぁ。多分、マフィアにはなれないよ」
「それは残念。ま、部下より使える人間が外部に居れば、ちょっと無茶しても何とかなりそうだし」
「そうそう、そうやって私を頼ればいいんだよ。そうして、みっともなく縋りつけばいいよ。そしたら私は君たち3人のスーパーヒーローにでもなって、助けてあげられるんだからさ。そしたら、また3人で飲み会でも何でもすればいい」
「スーパーヒーローって……ここは現実ですよ」


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