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「知ってるさ、そんなこと。だって、仕方ないだろ。君たちは今までと同じように友人でいたい、だけどそれは世界が許さなかった。理不尽上等、それが世界だ。世の中の関節なんてとっくの前に外れてる。何百年も前に生きてたシェイクスピアですらそれに気付けたっていうのに、君たちは未だに気付けずにいる。自分から動かない限りは、世の中はそう簡単に動いてくれない。だって世界は君たちみたいなの、別に必要としてないからね。大きな川を目の前にして、小石を投げ込んでも流れが変わったりしないのと同じように。人間なんてのは、世界に対して何もできない小石に過ぎない。君らを見てると、なんだか馬鹿が長所に思えてくるから笑えるよね」

 まったく笑えなかった。もし彼らが、この先なにか行動を起こしたとしたら、世界は彼らを受け入れるだろうか。

「みっともなく足掻いたところで、世界は醜いままだと思うけど?」
「その醜い世界に生かしてもらってる太宰くんは、きっと一番汚れてるな。命に失礼なヤツめ。君みたいなのが、一番長生きするんだ。生きながらにして地獄を味わえ。賭けてもいい、君は絶対に長生きする」
「どうして?君には未来が見えるのかい?」
「いいや。私がそうだと言ったら、そうなるんだ。そういう風に出来ている」
「自惚れも大概にするべきだよ。まぁ、斎ちゃんらしくて良いけれども」
「君らとおしゃべりしてると頭使うから嫌だな。疲れたし、もう帰るよ」

 グラスに半分ほど残っているコークハイを横目に(全部飲めばよかった!)、出口へと向かった。誰だったか忘れたが、こんなことを言っているヤツがいた。ウィスキーはシャワーを全く浴びないで、香水を大量に振りまいてる女みたいだって。コーラの甘ったるい後味を飲み込んだあと、まったくその通りだと思った。


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