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死体を隠すには死体の山をこしらえろ、などといったけれど、この様子だとどれを隠したかったのか分からないほど、人間の肉の塊がごろごろと転がっていた。
やり口は迅速かつ的確に、心臓に1発だけ。きっと、苦しむ隙もなく死んでいっただろう。まるで救済のようだ。余程の者でない限り、ここまで鮮やかに人を殺すことなどできない。
なぁ、織田作之助。アンタ一体、どんな化物をその身の内に飼っていたんだ?あれだけ近くにいて、同じ時間を過ごしたにもかかわらず、その全貌を確認することが出来なかった。流石、としか言えないな。
建物の奥へ、奥へ進む。視界には人間だったモノがそこら中に転がっていた。
ボロを纏ったミミックの連中だけでなく、スーツを着た人間まで死んでいた。ということは、太宰くんはボスの説得に成功した、ということなのだろうか。しかし、結局は全員死んでしまったみたいだが。
一番奥の部屋、血と硝煙の匂いが混ざり合った部屋。西向きの大きな窓から西日が射しこみ、シャンデリアがぬらりと光っていた。この部屋で、二人が対立している訳か。
ここで失敗したら、全てが水の泡だ。タイミングを間違えるな。未来予知など超越したスピードで、全てを終わらせる弾丸を撃ち込め。人は何かの犠牲の上でしか生きていけないと決まっているのだから。
触れる物の全てを貫く切っ先の上を、素足で歩くような危うい選択。そういったものに追いかけられる日々。そんな毎日だからこそ、人は1日を大切にしようと思えるようになる。
だから私は、彼らを救わなければならない。そうすることによって、生きる意味を初めて与えてもらえるのだから。
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