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酔いつぶれた彼を放って帰ることもできず、結局サクさんに連絡をとった。車で迎えに行く、とのことだった。私は太宰くんに水を飲ませた。最初は嫌がっていたが、そのうち大人しくなっていった。
「よぉ」
サクさんが店についた。彼は私たち二人を見て少し笑った。
「太宰がこんなになるとはな」
「初めて見た」
「俺もだよ。おい、太宰。歩けるか?」
カウンターに突っ伏しながら、ひらひらと片手を振った。
「なんとかね。大丈夫さ」
「そうか。店の前に車を止めてある」
「んー」
結局、二人掛かりで支えながら店を出た。車内はとても静かだった。時折、太宰くんが足を延ばして伸びをするくらいだった。少しだけ窓を開けると、心地良い風がアルコールで温まりすぎた体を冷やしてくれた。家に着いた頃には、もう朝の4時になろうとしていた。眠れるわけがなかった。私はジェフ・オコンネルの詩を口ずさんだ。
『難破する』
ひとつの感情が正反対の感情になる
その瞬間を彼は求めていた。
彼女に対する自分の冷たい仕打ちを弁明する
言い訳をそこで見つけられるかのように。
惚れるだとか、好きだとか、独占したいだとか。どれにしたって、誰にしたって、自分は相手を十分に満足させられないだろうなと思った。なんとなくだったが。
親の愛情を知らずに育つと、人を愛するということの意味が理解できない人間になる。これは本当の事だった。私が愛しているのは、まず自分。それから、アルコールとタバコ。あとは何冊かの小説と、くだらない映画たち。退屈しのぎになることならなんでも。
人を好くということは、とても面倒で心苦しいのだ。きっと。だからこそ、そこに愉しさなど求めてはいけない。
彼らに対する自分の冷たい仕打ちを弁明する言い訳など、どこを探しても見つかりそうもなかった。
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