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 最近のサクさんには焦りのようなものが見て取れた。彼の仕事仲間に何かあったのか、それとも他のことで何かあったのか、そんなことは知らないし興味もないが。店にこの男がやってきたということは、仕事の方で何かあったのだろう。ヨコハマの闇が大きな口を開けて、何かを待ち望んでいるような気がした。
 2階にいる子供たちの様子を見てきたサクさんが、店の方に下りてきた。子供たちの生活費を店主に渡していた。そこには私の分は入っていない。自分でできることは自分でする、例えそれが表に立てないような仕事であっても。しょうがないじゃないか、親が残した仕事なんだから。それに、私はこの仕事が好きなのだ。私の仕事に対して、サクさんは何も言わなかった。

「今日来たのは例の件だな」
「そーです……」
「お水ドーゾ」
「ありがと……」

 辛いなら食べなければいいのに。と思うだけで口には出さない。コップに新しく水を入れて差し出してやった。やっぱコイツただのアホだろ。

「結論から言うと、彼らは海外の異能犯罪組織だ。英国の異能機関、時計塔の従騎士に追われ、欧州から逃げてきたらしい」
「そんな奴らがわざわざ日本まで来て、何をしようとしてる?」
「逃げた先は異国の地。先立つものがいるってことかな」
「ありそうな話だが、一つ引っかかることがある」
「兵の練度が高すぎるっていうんだろ?」
「あぁ」
「彼らは軍人崩れだよ。情報によると、組織の頭目は強力な異能力で歴戦の部下たちを統率しているらしい」
「強力な異能力?ボスはこの件のことを知っているのか?」
「報告したよ。そうしたら、対ミミックの戦略立案と前線指揮を仰せつかった。早速いくつか罠を仕掛けておいた」


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