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洋食屋で話すような内容ではない。しかし、かの有名なウィリアム・シェイクスピアも、こんな言葉を残していた。
『世間を欺くには、世間と同じ顔をしなければ。目にも、手にも、舌にも、歓迎の気持ちを表して。無心の花と見せかけて、そこに潜む蛇とおなりなさい。』
木の葉を隠すなら森の中、死体を隠すには死体の山をこしらえろ。つまりはそういうことだ。
「根本的なことを聞くが国際的な異能力犯罪組織ならば、政府機関の案件ではないのか?」
「それは、内務省異能特務課のことを言っているのかな?彼らは滅多なことでは出張ってこない。表向きは存在しない組織だからね」
「安吾については?」
「武器庫の暗証番号は、安吾によってもたらされたものだと、ほぼ確定した」
「安吾は組織を裏切ったのか」
「そう考えると全ての辻褄は合う」
木の葉を隠すには云々と言ったが、本当にすべて聞いてしまってよかったのだろうか。私は自ら死体の山の一部になりに行かなければならないようなことを聞いてしまった気がした。
「なぁ、斎」
なんてタイミングで声を掛けやがる。頭おかしいんじゃねぇの。カレーのせいだ、絶対。
「何ですか、何も聞いてませンよ」
「まだ何も言っていないからな」
「……そー、ですね。はい」
「グラオガイストという銃を知っているか?」
「……知ってるよ」
そう答えた時の太宰治の顔といったら。鳩が豆鉄砲を喰らった時のような顔、なんとまぁ、この言葉を考えた人は素晴らしいと思ったね。
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