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「ある意味、わたしのやっていることは魔女みたいなものではないですか」

 と楽しそうな声が聞こえてきた。
 
「『ある意味』ってどういう意味?」

 ノエルはホグワーツに通う魔法使いなのだから、“ある意味”という言葉はいらないはずだ。
 
「ディゴリーとチョウの恋を取り持つなんて、惚れ薬を作っている魔女と大差ないとおもいませんか?」
「それは、魔法薬学の先生に少し失礼じゃないか?」
「先生方は魔法使いであって、魔女ではありませんよ」

 どうやら、ノエルには魔法使いと魔女は別物として考えられるらしい。つくづく、不思議な子だと思う。そんなノエルに付き合う僕やチョウも“不思議な子”なのかもしれない。

「ノエルは僕とチョウが付き合うってなった時、どう思った?」

 バタービールを奢っている分の元はとろうと、セドリックは実直な質問をする。口が動くかぎり、いくらでも質問なんてできるはずなのに、人間は空気に合った言葉しかしゃべることが許されていない。だから、今の内に、忘れない内に聞いていおこうと思った。

「正直、なんとも思いませんでした。だって、チョウのことなんてどうでもいいですから」

 と言ってから、

「ですが、ああ、やっぱりディゴリーなのか、とも思ったのです。よく顔を合わせる子を好きになる、ありふれた、しょうもない理由ですね」

 しょうもないという言葉は、残念ながら的確なのだろう。普通の“ともだち”がいて、趣味でもあるクディッチでは同じポジションをしている男。ハリー・ポッターのような衝動的な要素はどこにもなく、おそらく一番共にしている時間が長い異性をいいように思った。惰性の延長上にこの恋愛はある。かといって、どうでもいいことのように扱えるほどセドリックには人生経験はないのだけれど。

「僕にとったらじゅうぶん衝撃だけどね。本当のところさ、まだチョウと付き合う可能性より、ノエルと付き合う可能性のほうがあるって思ってた。だってさ、そのほうが自然だからね」
「そうかもしれませんね。こうやって二人で行動を共にしているぐらいですから。周りから見たらカップルなのでしょう」

 ノエルと比べるのは卑怯な気もしたが、そうは言ってもチョウ以外で親しい女子となるとノエルしかいないから、どうしても考えてしまう。ノエルとなら肩をいからせて、先のことを見越して会話を飛ばすようなことはしなくていい。その場その場のノリですべてをすませてしまえる。主導権をノエルに握らせてしまえば、あとは流れていけば済むことだ。セドリックという心の船にはチョウという荷物はちと重すぎる。船が転覆すれば、大事な荷物であるチョウだって水がかかってダメになってしまう。

「ノエルと付き合ってればよかったな」

 自分はノエルの前では気楽でいられる。もう、ずっと前から知っていたことを改めて再確認した。



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