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「付き合っていればよかった、ですか、無用心にすごい発言をしますね、ディゴリーって」

 才能のない人間を見放したような顔をノエルはする。現実に見放されないように注意しないといけない。今、ノエルに見放されたら砂漠で道に迷った隊商のように絶望するしかない。もしかすると、最も効果的なタイミングでセドリックを置き去りにしようとノエルは狙っているのかもしれないが。

「それは誘っているのですか?三角関係の修羅場になってほしいのですか?」
「そんなわけないよ」

 そんな勘繰りをされるのは心外だった。たとえ冗談だとしても。むしろ、今の三人の関係を壊したくなくて、チョウの告白だって受け入れたのだ。その発想がチョウに失礼だというのはわかるし、そんなことを言うほど人の気持ちが汲めないわけではないけれど、自分の苦労も察してほしいと思う。
 トライ・ウィザード・トーナメントの代表者に選ばれたり、チョウと付き合うことになったことで彼女の友人たちからの変な視線を貰うことになったり、他にも問題は山積みだ。

「せいぜい熱愛してください。誓ってもいいですが、初めての恋なんてものは長くは続きませんからね。いつかは悲惨な末路を迎えます。反動は幸せが強いほど大きいものです。だから、わたしは二人を応援しているんです。きっと、あれですね。幸せの絶頂を達したあたりでディゴリーが重い病気にでもかかるんですよ。だって生命線が短いですから」

 恋の仲介役が言っていい発言じゃない。じっと耐えてしのんでついていくしかない。麻酔で眠っている患者が医者を信じるしかないように。

「ここまで言われて、怒らないんですか」
「それでノエルが幸せならね」

 諦め顔のセドリックにノエルは目を細めた。陽だまりで寝そべる猫みたいに。

「ディゴリーは素直ですね。だからハッフルパフに組分けされたんですよ。あなた奴隷にむいていますよ。わたしが王候貴族なら一生飼ってあげるのですがね。残念ながら一介の魔女にはそんな財力はありません。わたしは魔女です。まだ人を呪ったことはないですが。まぁ、呪うようなこともありませんでしたし。でもね、呪いたい人はいますよ。」


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