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 そして、やって来た最終課題。生徒が一人死んだというのに、こんなことをやっているのはどうかと思う。他殺でないだけよかったのだろう、学校としては。犯人を探さなくていいから。でも、この会場にいる人間すべての顔に不安と緊張の色が見える。セドリックは鈴を強く握りしめた。

「大丈夫だ。またすぐに会える。だから僕はこの課題を乗りきるんだ」

 選手がそろった。スタートの合図が鳴る。それと同時に鈴の音が聞こえたような気がした。
 迷路の中は不気味な何かで包まれている。濃霧によって視界が悪い。時間がたつほど、奥に進むほど、闇に飲み込まれてゆくのが分かる。 セドリックとハリーが同時に優勝杯に触れた。その瞬間、周りの景色が歪みだした。頭の中をぐるぐるとかき回された気分だ。人の脳みそをかき回すノエルの姿がほんの一瞬よぎった。気づけば、そこはホグワーツではなかった。優勝杯がポートキーになっていた。

「ここは何処だ?」
「…前にも来たことがある。夢で来た。トム・リドルの墓だ」

 トム・リドル。セドリックはその名前を聞いたことがあった。ノエルが以前、話していた。ヴォルデモート卿の本名だと。

「ハリー、大丈夫か?」

 ハリーの額の傷が痛みだしたらしい。そのとき、物陰から一人の人間が何かを抱えて出てきた。

「誰だ?何しに来た?」
『余計なものは殺せ』

 抱えられた人間らしきものが、地を這いずるような声で言った。それを聞いた男はニヤニヤと気持ちの悪い笑顔を握っていた杖と一緒にこちらに向けた。

「アバダ ケダブラ」

 その呪文をかろうじて音として確認できたとき、セドリックは冷静に自分は死ぬのだと思った。死んでノエルの側にいくのだと思いながら、ポケットに入っている鈴に触れた。


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