「ふむふむ、ではその時あなたはセクハラの被害を訴えたけど会社は取り合ってくれなかったと…」
「そうなんです…私、もう辛くて…」
涙が今にも零れ落ちそうな女性はハンカチを片手に震える声で話し、またその話を聞いている女性は眉をひそめながら相槌を打つ。
「失礼を承知でお伺いしますが、被害を受けた日と会社へ相談した日を教えていただけますか?」
シワも汚れもない新品のメモ帳を片手に持ちながら、質問を投げかけた女性はペン先をくるくると回す
「ええっと…確か被害を受けたのが〇月×日で…会社へ相談したのが翌月の△日です。」
女性は怯えながら小声で答えると、用事があるため失礼しますと言い残し早々に去っていく。心なしか彼女の足取りは震えているようだ。
-------―ここは米花町にあるとあるカフェの一席
多くの会社員がパソコンを開いて仕事を片付けたり、取引先との打ち合わせに使われている人気のカフェ
「え〜お茶残して帰っちゃうなんて勿体ない…」
先ほど帰ってしまった相手と会話を交わせていた女性…というには少し幼さが残る顔立ちの人物は、先ほどの会話の内容とは釣り合わない笑顔で冷めてしまった紅茶を飲む
(さてさて情報は回収したし撤収しようかな)
席に残された女性こそ私、苗字名前である。
ちなみに組織の任務で来ている訳だが、とある企業に勤める女性から情報を回収してくるのが今回の私の仕事。正直くそほど簡単な奴〜あの女の人もお金に目がくらんだんだろうけど、こんなのに関わらなきゃ良かったのに。いざ関わったら怖くなってしまった、どうしようってパニックになってるんだろうな。あの感じだときっと後々消されることになるんだろうけど…
用は済んだしとっとと帰って情報上げるか〜って席を立とうとしたとき、羽織っていた丈が長いカーディガンの裾をクイッと引っ張られた感覚があった。おまけに何かぞっとする気配付きで。
思わず視線を下に下げると…
「ねぇねぇ、お姉さん!」
貼り付けたような笑顔をしたメガネの子供がいた
((((…すっげえ悪寒がする……)))