裡側 壱





生涯を共に過ごそうと誓った、この魂が続く限り。











俺もこの娘を知っているかもしれない。
そう思わざる他なかった、なのに何故思い出せない。思い出せないということは知らないのと同じこと。考えても仕方の無いことは考えるな、初対面なのは間違い無い。曖昧な返事はかえって混乱を呼んでしまう。

「………否!ないな!君の名前も初耳だし、面識も無い、この話はこれで終いだな!」

そう答えると彼女は大きく目を開いた
途端に宇髄の笑い声が走る。目の前の彼女に馴れ馴れしく振る舞う様は決して気分の良いものでは無く、俺の中の何かが彼女に触れるなと警報を鳴らす。
触れたこともない感情が目を覚まし一瞬戸惑ってしまったが口を挟まずにはいられなかった。

「宇髄、女性にみだりに触れるものではないぞ」

彼女は顔を紅潮させ宇髄の方へむく、考える暇も無かった。何故このように宇髄に嫌悪するのか自分の行動に理解出来ずにいたが、彼女が俺に向けて惚けた顔をした時に俺だけ見ていてほしいと願ってしまった。







・・・





「煉獄も隅におけねぇな〜」
「む?なにがだ!」
「苗字名前、地味だがあれは派手に良い女だ。俺が証明する」

今しがた会ったばかりの苗字さんの何を知っているというのだ。
宇髄が言っている意味がわからず、首を傾げる。

「まぁ、俺には独自の情報網があるからな。派手に信用しろ。派手派手にな!」
「言っている意味がわからない、苗字さんの何を知っているんだ」
「魂の話っつーの?煉獄は覚えてないから、仕方ねぇか」
「???」

それだけ言うと宇髄は何処かに消えた、授業だろうか。それ以上のことを追求しても仕方ないと思い、俺は授業の準備を進める。
彼女の事を知る宇髄にまたもや嫌悪するが、彼にぶつけたとて何の意味も無さないと思い辞めた。知らないなら知ればいいまでだ!

会ったばかりではあるが知見を深めればそのうちにこの感情の正体がわかるかもしれない。
うむ!機会さえあれば生徒達と騎馬戦をさせよう!名案だな!












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痺莫