裡側 弐




歴史は奥が深い、登場人物一人一人に物語があり選択肢が違っただけで大きく歴史は変わっていっただろう。生きていく上で選択は大事だ、その分岐を繰り返し大人になっていく。沢山失敗をして学び成長してほしいと切に願う。歴史はそのように生きていく上での大変有意義な教科書だと俺は思っている。

「机ばかりに向かっていても仕方ないな、うむ!机を寄せて騎馬戦だ!」

生徒達は煉獄先生の授業をよく理解してくれているので言葉一つで机の移動が始まる。
自然と誰とチームを組むか、武将は誰にするか等で盛り上がり年号や歴史上の人物はある程度皆が熟知しているのが煉獄先生の授業の凄いところだ

「それぞれ首を討ち取る武将を決めるといい!」
「子分どもぉ!!行くぞぉぉ!!」

騎馬の確認を取っていると視線を感じ振り返ると目があった。あの時の彼女だ、その瞬間に彼女の前に赴き手を取る。まるで逃がさないとでも言うように

「苗字さんも一緒に騎馬戦しよう!」
「え!?煉獄先生、私今仕事中でして!」

目を丸やかにして戸惑っている彼女を見て、なおいっそう困らせたいと思い横抱きにすると紅潮させた顔を隠す。そんなおぼこい彼女を見て自身の口角が上がっていく、知らなければ知ればいい。その言葉を心に刻んだ。









・・・











騎馬戦は筒がなく進み、苗字さんも姫として役目を全うした。最初こそ恥ずかしがっていたが生徒と共に楽しんで笑っている彼女を見ると自身の体温が高くなるのがわかった。

物語でよく出てくる“笑うと花開くよう”は彼女を模す表現だろう。




授業を終え、職員室に戻ると先程俺の腕の中にいた彼女が今度は不死川と近い距離で何やら話ている。仕事だろう、そう直ぐに理解したが足は彼女の元に向かっていた。
何故こんなにも彼女が気になるのだろう、自身を律することが出来ぬなど鍛錬が足らないのか。
今日は父上の道場で鍛錬をさせてもらうとしよう!

「苗字さん、騎馬戦楽しかったな!」

話しかけると彼女はまた顔を赤らめおぼこい表情をする、不死川に見られたくなくてさっと二人の間に入ると不死川は明らかに表情を変えてきた。

「煉獄てめぇ他人を巻き込むんじゃねぇよ」

今はそれどころでは無い、彼女の顔を見られないようにしながら仕事だと知っているのに要件を聞く。案の定仕事の引き継ぎだと言ってきた。
俺は中々に情けないなと思う気持ちを隠すように彼女を褒め頭を撫でながら髪の感触を確かめる。

これ以上続けてしまえば不死川に見られてしまうと思いもっと触れていたい気持ちをぐっと堪えてその場を去った。
色恋をするために学校に来ているわけではない、本業を忘れるなと自身に言い聞かせながら






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痺莫