「飯田、お前はそのまま地面にでも埋まってろ」
「土に還れって? いやいや、どうせ養分になるならお前の中に精子出してそれを吸収されたいわ」
はっ、と鼻で笑う関根。
「そう言うならまずは自分に惚れさせてみるんだな」
「え、面倒くさいからやだ。いいじゃん、お前男のくせにさ、気持ちいいこと好きだろ」
「後悔するようなことは嫌いだ」
「後悔する? 何で? 俺とのセックスってそんなに駄目そう? 相性良さそうだと思うんだけどなぁ……ほれ、手をかしてみ」
飯田は、関根を押さえつけている胸の力を緩めた。今だ、と関根はその隙に逃げようともがく。しかし飯田は器用に、関根の左手だけを自由にして、再びその身体を胸で押しつぶす。そして彼の左手に自分の左手を重ねた。
「気持ちよくない? 何かぴったり吸い付くような感じしない?」
無駄な足掻きをしてしまったと後悔するように関根は唸る。
「くっ……まぁ、な」
「だろ。だから絶対に合体したら気持ちいいって」
飯田は、繋いだ手をやわやわと揉んだ。
片方の眉を上げながら、関根がまつ毛を震わせる。
「何でそうなるんだ」
「え、だってさ、皮膚がもうぴったんこの相性なんだぞ? ちん棒を覆ってるのだって皮膚だろ? そしてお前の穴だって皮膚でコーティングされてんじゃん」
「理屈はわかるような気がするが、理性がわかるなと言ってくるぞ」
「そんなもんは捨てちまえよ。何も考えないでさ、ただその瞬間に感じるものだけに集中しようぜ」
飯田は朗らかに笑いながら関根へ顔を近づけた。そのまま流れるような動作で、彼のきゅっと閉じられた唇へ軽いキスをする。関根の顔をじっと眺め、唇同士が擦り合うように首を、ゆっくりと左右に振る。
関根の唇はそれを受けて、ますますきつく結ばれた。しかし、飯田は諦めが悪いようで、そんな彼の唇の境を舌でとんとんとノックする。唇の肉をそれで無理矢理割って、奥にあった締められている前歯をちろちろ舐めるが、関根は全く応えようとしない。
飯田は諦めたようにふぅ、と小さくため息をつき、唇を離した。拗ねたように唇を尖らせる。
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