あれ? 僕、何で?

 頭を何度か叩かれたみたい。後頭部が痛い。

 顔を上げる。机に突っ伏して寝ていたようだ。

 数学の先生が、鬼のような形相で顔を覗きこんできた。

「授業中に深く眠るとは、いい度胸をしているな?」

 くすくすと笑う声が聞こえてくる。

 一瞬で恥ずかしくなった。

「すみません」

 俯き言うと、先生はぶつぶつ文句を言いながらも黒板の前に戻っていった。

 携帯電話が振動した。

 メールを確認する。彼方からだ。

「ばーか。寝てんじゃあねぇよ。昨日、そんな激しかったか?」

 なんのこと?

 無視していると、また、メールが届いた。

「ちゃかしてごめん。でもさ、やっと圭とほら、あれだ。セックスできて俺も嬉しかったから」

 ひっ、と小さな悲鳴が喉から飛び出した。

 びくついて、手の中から携帯電話が床に転げ落ちる。

 先生が即座に反応をしたみたいで、すぐにまたこちらに歩いてきた。

「寝ていたかと思えば授業中に携帯を弄っているだと!?」

 凄い怒鳴り声。

 耳鳴りがする。

 誰か助けて。

 嘘だ。僕、夢の中だっていえども、こんな、嫌だよ。

 彼方に抱かれたの? 彼方とエッチしたの?

 そんなの、違う。悪い夢だ。

 これは夢だ。夢だ、夢だ。

 ほら、まぶたを閉じて、待ってみたら――

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