「も、ああっ、ひゃぁぁっ、せいいちろっ、あっああっ、っ、んぐぅっ――」

 唾液を垂れ流しながら喘ぐ唇に貪りつき、その声を塞ぐ。持ち上げていた太腿を下ろし、瑞樹の陰茎に手をやれば、そこは再び勃ち上がっていた。キスをしながらふっ、と笑みがこぼれる。喘ぎ、逃げ回る舌を強引に絡め取り、啜り上げる。片手で胸の蕾を転がし、はちきれそうになっている彼の陰茎をぬちゅぬちゅ扱けば、肉襞が小刻みに蠢いて、陰茎を食いちぎらんばかりに締め付けてきた。その凄まじい快感に、脳をも蕩けさせるような強烈な痺れが体中を駆け巡る。

 堪えられない。

 清一郎は、瑞樹の胸の蕾へ歯を突き立てる。彼の陰茎を根元から強く扱く。中に挿入している陰茎が溶けてしまいそうだ。

「はうぅっ、あぅっ、またっ、イっ、イクっ、あっ、あああああっ!!」

 彼の甲高い叫び声を聞いた途端、下腹部に精液がぽたたっと飛び散ってくる。すぐさま清一郎は大きく腰を引き、ぱぁん、と音が鳴る程にそれを打ち付けた。これ以上は進めないところまで陰茎をはめ込み、そこで一瞬の絶頂を味わう。

「っ……ああ、瑞樹……っ、今、わかる? 中に出てるの」

「あぅっ……ふぅぅっ、っ」

 焦点の定まらぬ瞳は暫く宙を漂うと、清一郎に向いた。

「せいいちろ……あなたのっ、精液……美味しいでひゅっ……っ」

 唇の周りに垂れている己の唾液を舌で拭いながら、瑞樹はだらしのない笑みを浮かべる。

 美しい獣。いいや、悪魔だ。

 吐精したことにより、清一郎の頭に理性が戻ってきた。自分は何をしたのか。何ってことをしたのだろう。こんな風に瑞樹を苛めるつもりはなかったのに。

 瑞樹の頭。その横にある、くしゃくしゃと皺が寄ったビニール袋を目で捉えた。これだ。これが引き金だったんだ。望んでいなかったはずなのに、つい、彼の行動に引きずられてしまった。

 清一郎は、瑞樹の中から萎えた陰茎を静かに引き抜いた。追いかけるかのようひくつくそこは、彼の吐き出した精液をこぽり、と垂れ流す。

「すまない。すまない……」

 瑞樹の前で頭を抱えた。

「……すみません。僕が、悪かったのです……っ」

 まだ快楽の余韻が残っている声で囁かれる。まさか彼から詫びられるとは思わなかった。清一郎は素早く顔を上げた。

 目の前に、信じられない程に美しい顔がある。涙や唾液で汚れているにも関わらず、その笑みはとても清らかだった。量のある長いまつ毛は微かに揺れている。栗色の髪は、汗で頬に張り付いていた。

「ビニール袋……最後まで、被っていなくて。すみませんでした。次はもっと……ちゃんとしますから」

 ああ、わかってくれたのか。そう安堵した心が急速に凍りついた。肌が粟立つ。部屋に漂う性的な匂いへ、急に吐き気が込み上がった。

「違う。違う……どうしてわかってくれないんだ」

 瑞樹を抱きしめようと動いた手は、宙で止まる。

 彼が、子供のように無邪気な動作で、きょとん、と首を傾げたからだ。

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