浅草へ向かう途中で、竈門兄妹は現在鬼の棲む家で同期の隊士と共に任務に当たっていると分かった。他にも癸の隊士がいるみたいだけど、複数の鬼が居るのだろうか。
「お館様は何て?」
「手出シハ無用。藤ノ花家紋ノ家ニテ隊士ヲ待テ」
鴉さんの案内で私は藤の花の家に向かう。この辺りには来た事が無い。昼間なのもあるが、長閑で心地良い。日が傾き始めた頃、藤の花の家に着いた。
「鬼狩り様でございますね」
「しばらくの間、お世話になります」
「お部屋へご案内いたします」
食事や湯浴みを済ませ部屋で少し休んでいたが、落ち着かず庭へ出てみると綺麗な月が夜を照らしていた。お館様は何をお考えなのだろうと、縁側に座り月を眺めていたその時。
「…!」
ほんの微かにだが鬼の気配がした。鬼ではあるが、独特な気配だ。日輪刀を手にし、家の中を歩きながら鬼の気配を探っていると三人分の食事を運ぶ家の人たちに出会った。隊士が三人休息しにこの家を訪れたらしい。
「私もご一緒してもいいですか?」
「勿論でございます。お館様より仰せつかっております」
お館様から聞いているという事は、この三人の隊士中の誰かが鬼を連れているのだろう。彼らの部屋は然程遠くは無かった。お食事でございます、と言うお婆さんの後ろから顔を出し中を覗く。すると、中には個性的な三人の男の子が居た。一人は猪の被り物を手に持ち、もう一人は額に痣のある子の後ろに隠れ怯えている。一番まともに見えるのは、痣のある子だ。
「んぁ?」
「だ、誰ー?!」
「あの…」
「驚かせてごめんね。私は紫藤一露葉。貴方達と同じ鬼殺隊の隊士です」
「こ、こ、こ、こんな綺麗な人が鬼殺隊にィィィ〜!!!!?!!?!」
「善逸、静かにするんだ!紫藤さんが驚いてるだろう」
後ろに隠れていたと思えば鼓膜が破れそうになるほどの大きな声で絶叫をしている。苦笑いだと悟られないよう微笑み彼らの名前を聞いてみる。
「嘴平伊之助だ!」
「俺は竈門炭治郎です。後ろにいるのが、我妻善逸です」
「宜しくね」
「俺には分かるぞ!お前、強いな」
「伊之助!指差すな!失礼だぞ!」
「俺と勝負しろ!」
「その前に、ちゃんと怪我治そうね。三人共、怪我してるでしょ?」
怪我の具合を聞くと三人共同じく肋が折れているそうだ。それ程、過酷だったのだろう。今すぐ勝負しろと騒ぐ伊之助くんを宥めていると、部屋の隅に置かれた箱が目に入った。
「あれって、誰の?」
「俺です」
「……そう。じゃあ、君が」
「え?」
「ううん、何でもない」
あの隅にある箱には、鬼になった妹が入っているのだろう。あの箱が誰のなのか聞いた瞬間、善逸くんの顔が強張ったという事はこの子達は鬼が入ってるのを分かっているのだろう。その日の夜中、物凄い叫び声が聞こえ彼らの部屋を訪れると鬼の妹が箱から出て来ていた。