食事の時間が終わり。
ラウンジのソファに座りなおしてくつろぐと
同じく食事が終わった船長が後を追ってきた。
最後の一口がまだ口に残っているのではないかという早さで走り
ソファにいる私の前に立つ。
他の人ならばそのまま隣に座るところだろうが
彼は違う。
また来た・・・!と、身体に力を入れるのと
彼が私の膝に手をかけるのは同時だった。
ぐっと力がこめられて、
両膝が押される。
やっぱり彼の力にはかなわなくて
足が横に開いてしまう。
「ちょっと、もう!」
慌ててスカートを手で押さえ
右足をそのまま伸ばし
ルフィを蹴った。
全く悪気無く、むしろやりたいことができなくてふくれっ面のルフィ越しに
鼻血を吹いて倒れるサンジくんの姿が見えた。
ここ数日、ソファに座るたびに
ルフィが走ってきては、私の膝を開く。
朝も昼も夜も。
何時であるかなどかまわずに、
彼は走ってくる。
ラウンジのソファでくつろぐのが好きなのに
こちらがスカートを履いていようが、パンツを履いていようがかまわない。
周りに人がいてもいなくても。
まったく気にも留めてくれず。
下心すら無いのもわかっているけれども。
「おれはここに座りてェんだって!」
ソファに座る人の足の間に座って
くつろぎたい。
というのはわかったが、それを私でやろうとするのは
やめていただきたい。
いくらルフィの頼みでも
それだけは願い下げだ。
だいたい、なぜ私の足の間なのか。
ゾロの足でも使えばいい。
数日前からなぜそんなことがやりたいのかも
思いついたのかもわからないけれども。
きっとただのきまぐれだろう。
しかしこう毎日毎回やられては。
いつ飽きてくれるかもわからないし。
サンジくんをはじめ、ほかにも人がいる中でこんなことを毎回されるのは
恥ずかしさどころか申し訳なさしか残らない。
ルフィの手を払いのけると
足を閉じなおした。
「もうスカート履くのやめようかしら」
めくれそうになっているスカートを戻し、
しわを伸ばす。
いつのまにか復活したサンジくんから
大きな大きな抗議の悲鳴が聞こえているけれども
無視させていただく。
もともと動きやすいドレープがたっぷり入ったスカートが好きだけれども
ショートパンツも嫌いではない。
ナミには申し訳ないが、お金をお願いして
次の街で洋服を買おうか。
そこまでルフィのこの流行りが持つかはわからないが
抵抗のためにも、いったんスカートを封印するのは考えてもいい。
ルフィのためにスカートを履いているわけでもないけれど。
サンジくんにつられてか、
抗議の声をあげているルフィ。
ソファから立ち上がる。
せっかく美味しい食事の余韻を
お気に入りの場所で楽しもうと思ったのに。
抗議の合唱もうるさいので
ラウンジから出て行くことに決めた。
2人の声を背に
ラウンジのドアに手をかける。
と、力を入れる前にドアが開いた。
自動ドアのように勝手に開いたので
前のめりにバランスを崩し
少しだけつんのめってしまった。
ぽす・・・っ
戻しきれなかった重心はそのまま前にいき
空を切らずに、ドアを開いた人物に突っ込む。
目の前が白でいっぱいになり
慌てて体重を後ろに戻した。
見上げるとドアを開けたのはゾロで
彼にごめんなさいと告げ
一歩引く。
彼はさして気にも留めていない様子だった。
おう、と短く返事をくれると
後ろ手にドアを閉める。
食事が終わった後にもう一度ラウンジに戻ってくるのは珍しい。
食後のお酒でも取りに来たのだろうか。
「おい、ゾロ!」
ゾロと入れ替わってラウンジを出ようとすると
さらに後ろから抗議の声。
私への態度が、と文句を言っているサンジくんと、
近い近い、とこちらも文句を言っているルフィ。
ずっと抗議ばかりで呆れる。
そうだ、と思いついて
横をすり抜けてキッチンに近づこうとするゾロの背中に
声をかけた。
「ねえ、ソファで飲んでいかない?
ルフィが膝を貸して欲しいんですって」
あぁ?と言ってゾロが振り向く。
よく理解ができない様子で首を傾げているが
私にもルフィのやりたいことはよく理解ができないので
これ以上説明のしようもなかった。
ただ、ゾロなら男性で、もちろんパンツを履いていて
特に足を開いても問題は無い。
ソファに座ってお酒でも飲んでいてくれれば
ルフィが思う存分膝の間に座れるだろう。
先ほどもそう思ってゾロに頼めばいい、と考えたのだ。
腕を組んでこちらを向いたゾロが
肩をすくめた。
「よくわからねェが。
あいつがやりたいことっつったら、
それはナマエナマエナマエじゃないとだめなんじゃェか?」
親指でルフィを指しながら言う。
まさかゾロにそのようなことを言われるとは思わず。
その親指の示す方向を辿ると
嬉しそうに笑っているルフィがいた。
笑いながらこちらに向かって歩いてくる。
そんなに嬉しそうにされても。
思わず吊られて笑いそうになるから、
彼の笑顔はおそろしい。
私の隣にくると、
ぽんっと肩をたたいて
まだ嬉しそうに笑っていた。
諦めろ、とかそういう意味だろうか。
はぁ、とため息が口をついて出た。
そういうことなら。
隣に立つルフィの笑顔を見てから
腕を掴んだ。
そのままソファまで引っ張る。
特に抵抗もなくついてくる彼の肩を押して
ふかふかのソファの真ん中に座らせた。
なんだ?と首を傾げている彼の顔を覗き込む。
笑ったまま、私にされるがままの彼を見て
仕方ないと心を決めた。
あまり床に座るのは好きではないが。
ルフィの膝に手を乗せて
左右に押す。
何の抵抗もない両膝が簡単に開き
間に空間ができた。
私はソファに背を向けて
そのまま床に座る。
彼の両膝の間に収まると
体重を後ろに預けた。
「これなら、付き合ってあげる」
ゾロもサンジくんもいる中でこれは少し恥ずかしいが
毎日毎食後にあれを続けられるよりは
いくらかマシだ。
彼のやりたいこととは多少違うかもしれないが
私が下になることで良しとしてほしい。
両腕が伸びてきて
そのまま後ろから抱きしめられた。
優しさだけが、伝わってくる。
嬉しそうに笑う声が耳元から聞こえた。
その腕に手を添えて
顔を上に向けると
やっぱり嬉しそうに笑う彼がいた。
「これはこれでいいな」
今回だけでもうやりませんけれども。
そう言うのが憚られてしまい
伝えそびれてしまった。
明日から早速後悔することになるとは、思わなかったけれども。
君だから、こうしたい
(ナマエナマエナマエちゃん、次、おれもおれも!)
(おいエロコック、目がやべぇぞ)
(なんだよー毎日ここに座るんだから、そんな暇ねぇぞ?)
(・・・え、毎日?!)
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