カナヲが鬼殺隊に入隊してから半月後、日輪刀が出来上がったらしい。任務から戻ると直ぐにしのぶに呼ばれた私は師範の部屋へと向かった。
「出来上がったんだって?」
「ええ」
「それで?」
「薄紅色でした。姉さんや一露葉と同じ」
「なら、習得した呼吸は間違いじゃないね」
「一露葉。私、あの子を継子にしようと思う」
「うん、私もそれが良いと思う」
「本当なら同じ呼吸で、姉さんの継子であった貴方が一番の適任者なんだけど…」
「私は柱じゃないし、仮に柱だったとしても、師には向かないよ」
「他の誰よりも向いているわよ」
「しのぶより?」
「そう」
そして、時々、私とカナエさんが重なって見える時があるとしのぶは言った。重なる事があるとすれば、継子として衣食住や任務など行動を共にしてきたからだろう。一緒にいる時間が長ければ長い程、無意識のうちに相手の癖が移ってしまう事があるからだ。
「あ、そうだ。次は長期任務になるみたい」
「最近は被害が拡大しているようですね」
「それだけ鬼が増えてるのよ」
「気を付けて」
「そっちも」
私が柱合会議に呼ばれるまでの期間でしのぶと話したのは此れが最後だった。翌日、お館様に呼ばれていた私は産屋敷邸を訪れていた。
「よく来たね、一露葉」
「お館様」
「あちこち行ってもらってすまないね」
「いえ。あの、今日は…」
「ああ、今日はね新しく入った子達について一露葉には話しておこうと思ってね」
「え?」
「五人もあの試験を乗り越えた。そして、その中の一人は鬼となった妹を連れた隊士がいるんだ」
「!?!!?!」
「妹は鬼となっても自我を保てていてね。此れは、君と同じように鬼舞辻にとって脅威になると私は思っているんだよ」
「…どうして、私にこの話を?」
「私はね、一露葉。君に彼らを任せたいんだ」
「え?」
「近いうちに会う事があるだろう。どうするかは、その目で見て決めてくれて構わない」
昨夜、しのぶからこの話が出る事は無かったという事は、柱も他の隊士も知らないのだ。お館様は一体何をお考えなのだろうか。脅威になるからと、鬼を連れた隊士を黙認されるなんて。
「では、行って参ります」
「頼んだよ」
お館様の命を受け、邸を出て任務先に向かう。今回は西のとある村に鬼が潜んでいるとの噂があり、偵察に行くのだが、その噂が本当であれば十二鬼月の可能性が高い。巧妙に隠れる事ができるのは厄介でもあるが、心の何処かであの鬼であれと思っていたのだった。