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お館様からの任務も無事に終え、鎹鴉の案内で近くにあるという藤の花の家で休息をしていた。湯浴みを終え自室に戻ろうと廊下を歩いていると、何やら騒がしい声が聞こえてくる。おまけにこの気配…鬼だ。


「他にも隊士が?」
「三名の鬼狩り様がいらっしゃいました」
「今は何を?」
「お医者様に診て頂き安静にしておられます」


怪我が酷いらしく医者に診てもらったようだが、三人共肋が折れているらしく暫く完治するまでは此処に留まるようだ。


「ギャーーーー!!!!」
「……」
「お元気そうで何よりです」
「夜分遅くにすみません」
「いいんですよ。此処は鬼狩り様方に安らぎを与える場所なのですから」


静かにするように言おうと騒がしい部屋へ足を向けた瞬間、独特な鬼の気配が強くなる。三人の部屋には誰も近付けないように指示を出し、そーっと部屋に近付くとまた奇声が聞こえた。三人の中にお館様が言っていた鬼を連れた隊士がいるのだろうか。


「鬼殺隊を舐めるんじゃねぇぇぇ!!!!」
「善逸落ち着け!」


部屋に近付くにつれ、耳の鼓膜が破れるのではないかという程の甲高い声が鳴り響く。バンッと勢いよく襖を開けると、物凄い形相で刀を握る少年を額に痣のある少年が宥めていた。その先には竹筒を咥えた鬼が立っているし、おまけにこの騒音の中で爆睡している少年もいて頭が痛くなる。お館様が言っていた " 彼ら " というのはこの子たちなのだろうか。


「あなたたち!何やってるの!?」
「へっ?」
「え?」
「……」
「まず、そこの君!日輪刀は無闇に振り回す物じゃないわ。それに静かにしなさい」
「う…ご、ごめんなさい」
「それから…その子、鬼よね?なぜ鬼を滅する鬼殺隊でありながら鬼を連れてるの」
「禰󠄀豆子は…禰󠄀豆子は、俺の妹なんです!」
「家族だとしても鬼は鬼よ」
「俺は禰󠄀豆子を治すために剣士になりました。禰󠄀豆子は一度も人を襲った事はありません!!」
「それが何だというの?君が出来ないのなら、私が一思いに斬ってあげる」
「妹は!!!禰󠄀豆子は!!俺が守ります!!!」
「…炭治郎、その人」
「分かってる!俺らなんか足元にも及ばないくらい強いって…それでも!!妹を傷付ける奴は許さない!」


お館様が容認されているからあの鬼をどうにかしようとは思わないが、私に向けて構えている日輪刀を瞬時に奪い少年に刃を向け問う。日輪刀が無い状態でどうやって鬼である妹を守るのか、と。


「奪い返します!」
「ふふふ、やってみる?絶対に無理だから推奨しないわ。その代わり、君の妹を一晩預かるわね」
「「え?!」」
「詳細は明日。今日はゆっくり休むこと」


私から逃げるように小さくなった鬼は頑丈な箱の中に閉じこもってしまった。そのまま箱を自室に運び、朝陽が入らない場所に置く。そして、私の長い夜が始まったのだった。