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「うん、もう任務に出ても大丈夫ね」
「ぬははははは!俺はとっくに治ってる!」


所構わず頭突きしている伊之助くんから逃げ回る二人を眺めていると、鎹鴉が三人に緊急の指令を言い放った。


「三人トモ一刻モ早ク那田蜘蛛山へ向カエ」
「早くない?!指令くるの早すぎない!?」
「善逸!早く隊服着るんだ!」
「嫌だよぉぉ」
「……」
「禰󠄀豆子ちゃんが呆れた顔で君を見つめてるわよ?」
「い、今すぐ着てくるよ!禰󠄀豆子ちゃん!」
「……」


嫌だと駄々を捏ねていた善逸くんも漸く隊服に着替え、彼等は那田蜘蛛山へ向かって出発したのだった。数名の隊士が組になりこの山の鬼を狩りに行かせているとつい最近、親方様が仰っていた。同じ山で、一刻も早く向かえだなんて余程の事が起きているのだろうか。この後の任務は何も無いし私も着いて行こうか考えていると、親方様からお呼びが掛かった。


「やあ、よく来たね」
「出直した方が宜しいでしょうか」
「大丈夫。さあ、おいで」
「…失礼致します」


到着してすぐ案内された部屋の戸を開くと、柱と親方様が居た。来る途中で大体の内容は鴉さんから聞いていたが柱が居るという事は、鬼は十二鬼月の可能性が高いのかもしれない。


「私の剣士たちは殆どやられてしまったのだね。そこには十二鬼月がいるのかもしれない。柱を行かせなくてはならないようだ」


もし、あの山に十二鬼月がいるのならあの子達のような階級は何人集まっても歯が立たないだろう。実際、何十人もの隊士達が犠牲になっているのだ。


「義勇、しのぶ、一露葉」
「「「御意」」」
「人も鬼もみんな仲良くすればいいのに。お二人もそう思いません?」
「無理な話だ。鬼が人を喰らう限り」
「人を喰らわない鬼がいれば変わるかもしれませんよ」
「そっちの方が無理な話…かも、しれませんね。ね?冨岡さん」
「……」
「ねえ、冨岡さん。聞いてます?」
「……」


私もそれなりに長く鬼殺隊にいるが、この二人の距離感が未だによく分からない。水柱の冨岡さんはどんなにしのぶに突かれても無表情だし、しのぶはしのぶでその状況を楽しんでいるのか顔を合わせればいつも突いているのだ。現に今も……。


「しのぶ、陽が暮れるわ。そろそろ行こう」
「そうですね」
「……」


産屋敷邸を出て直ぐ、近くで待機していたカナヲが合流し私達は鬼が棲む那田蜘蛛山へ最速で向かった。到着したのは陽が暮れ始めた頃だが、流石鬼の棲家だ。中は暗く、薄気味悪い。


「分かれた方が良さそうだね」
「では、私は西側を回ります。冨岡さんは東側をお願いします」
「……」
「私はこのまま北に進んで隊員達を回収するわ」
「一露葉。頼みましたよ」


柱でも継子でも無い私が何故、柱と共に此処に来たのか。其れは、生存している隊員を隠を引き連れ回収していくこと。此れが今回の私の任務なのだ。今朝見送ったあの子達はもう此の山に入っているだろう。もしかしたら何処かで出くわすかもしれないが、今はただあの子達の生存を願いながら傷付いた隊員を治療し回収していたのだった。