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紹介してもらった育手の元で修行し始め一年が過ぎた頃、最終選別に行く許可が出た。最終選別が行われる藤襲山の麓から中腹までは一年中藤の花が咲き、捕らえられた鬼が外に出る事が出来ずにいるらしい。この中で七日間生き延びる事。其れが鬼殺隊に入隊する試験となる。


「必ず帰ってくるんだよ」
「はい」


恩師である椿さんに送り出され、最終選別へ向かった。藤襲山には同じように選別を受ける人達が二十人程集まっていた。私とあまり変わらない年頃の女の子もいる。合図と共に山へ入り最終選別が始まった。暗闇から次々と出てくる鬼を狩る。朝を迎えて休息を取り、また夜になり鬼を狩るのを繰り返し、最終選別も残り僅かとなった夜にあの子を見つけた。


「こんばんは」
「……」
「紫藤一露葉です。よろしくね」
「どうも」


此れが、後に蟲柱となる胡蝶しのぶとの出会いである。この頃の彼女は感情が全面に出ていた。私と出会ったこの時も、無愛想だった。


「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです」


二十人程いた筈だが、生き延びたのは私とあの子の二人だけだった。拍子抜けしている私を他所に、隊服について説明される。寸法を測って作ってくれるらしい。


「階級は十段階ございます。甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸」


今の私達の階級は一番下の癸である。亡くなった兄の階級は、乙だったらしい。そして、玉鋼と云われる鋼を選び十日から十五日後に選んだ玉鋼が刀となるようだ。


「今からは鎹鴉をつけさせていただきます。鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます」
「鎹鴉…」
「紫藤様の鎹鴉はお兄様の鎹鴉でございます」
「兄の?」
「鎹鴉の強い希望でもあり、お館様より特別にお許しが出たのでございます」


兄についていた鴉という事は、私も何度か姿を見た事がある筈だ。玉鋼を選んだ後、先刻寸法した隊服を手渡される。丈短くない?と思った瞬間、焦げ臭い匂いがして隣を見ると手渡された隊服が燃えていた。


「え?!」
「ちょっと!何するんですか!」
「……コレを着れと?」
「女子は皆んな着てますよ!」
「姉さんは着てませんけど?」
「今スグ変エロ!コンナノ着セラレナイ!!!」
「ギャァーーーー」
「はい。あなたもどうぞ」
「ワタシガ燃ヤスワ!」
「え!?」


恐らくマッチ箱であろう小さな箱を受け取ったのは、私ではなく、鎹鴉だった。そして、器用に火をつけ隊服を燃やしてしまったのだ。二人の気迫に負けたのか、その後ちゃんとした隊服を手渡され、私たちは藤襲山を後にした。