06





「……ん、」


目を覚ますと、見た事のない場所にいた。起き上がろうにも体中が痛い。声も出ない。動くたびに、体中に激痛が走り生きているのだと実感する。


「カ、カナエ様〜!」


小さな女の子と目が合ったかと思ったら、その子はカナエさんの名前を叫びながら走り去っていった。カナエさんの名前が出るって事は、此処は蝶屋敷という所なのだろうか。


「良かった。目が覚めたのね」
「………っ」
「起き上がらなくていいから」
「あんまり美味しくないけど、薬湯ちゃーんと飲んでゆっくり治していきましょうね!」
「ちょっと、姉さん!美味しくないとか言わないでよ!飲まなかったらどうするの!」


カナエさんの言うように、薬湯は美味しく無い。だが、一日でも早く傷を治して任務をこなしていかなければ。私がこうしている今も、何処かの町で人々が脅かされているのだから。


「今はゆっくり休むことがあなたのお仕事よ」
「……」
「焦る気持ちも分かるけどね?」
「…はっ…」
「無理に喋らなくていい」
「……」
「そんな冷たいこと言わないの。実はす〜っごく心配してたんでしょう?」


この特殊体質のお陰か、目覚めてから一週間経ち機能回復訓練を受けている。しのぶには勝てても、柱であるカナエさんには到底敵わず負けっ放しだ。


「ね〜え、一露葉ちゃん。私ね?いい事思いついたの」
「?」
「私の継子にならない?」
「えっ?!」
「は?継子?!」
「ね?いい事でしょう?」
「何処が?」
「一露葉ちゃんには才能があるもの〜!」


このふわんとしているカナエさんの雰囲気に思わず脱力してしまう。また突拍子も無い事を言い出している、と妹であるしのぶは呆れた顔をしながらカナエさんを見つめている。


「ね?ならない?継子に」
「〜もうっ!姉さん!」
「そんな顔しないでしのぶ。姉さんはしのぶの笑った顔が好きだなぁ」


前に椿さんに聞いた事がある。誰でも継子になれる訳では無い。柱が認める優秀な剣士が継子となり技など様々な事を継承していくのだと。


「あの!私…なります!」


こうして私は花柱の継子となった。後に、カナエさんはどうにかして私を蝶屋敷に留まらせたかったのだと、しのぶから聞いたのだった。