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私は今、警視庁警備局警備企画課に居る。何故かというと、遡ること一時間。


「おはよ」
「おはようございます」
「風見くん、徹夜?」
「ええ、まぁ」
「大丈夫?少し仮眠してきたら?」


そんな他愛もない会話をしていた矢先、呼び出されたのだ。今すぐゼロに来い、と。用件だけ言って切るところ、昔から全く変わってないわ。


「遅かったな」
「…それで?何をすればいいの?」
「察しがいいな」
「同期ですから」
「恋人だろ?」
「偽物のね」
「本物にするかい?」
「貴方の恋人は、この国でしょう?」
「俺はお前の事も愛してるよ」
「……はいはい。それで、本題は?」


この頃はポアロでカジュアルな格好をした安室しか見ていなかったのもあって、グレーの良質なスーツを見に纏った降谷に少しだけドキッとする。これがギャップ萌えってやつか。


「これ」
「招待状?」
「今夜、鈴木財閥主催のパーティーがある」
「え、やだ」
「園子さんから直々に招待された」
「そもそも、何のパーティー?鈴木財閥ってよくパーティーやってるわよね?」
「主催者は鈴木次郎吉。珍しい宝石のお披露目会だ」
「……それ行く意味ある?」
「直に招待されたし、毛利先生も来るし、安室の恋人も紹介できるし?」
「分かった。行く。行くけど…私、ドレスなんて持ってないわよ?」
「大丈夫。今から買いに行く」
「今から!?」


宣言通り、都内の有名店を訪れては私は着せ替え人形のように何着ものドレスを着せられていた。どれも同じ。こんな何着も着る必要ない、と言えばお前に似合う一着は俺が決めるとか言い出して、この様だ。


「……今着てるのを一式」
「は?!」
「よく似合ってるよ、藍」
「なッ、!」


安室透の時とは違う"降谷零"の顔に、雰囲気に呑まれそうになる。周りの店員は皆降谷に釘付けだ。さっきからずっと、胸が高鳴っているのはギャップにやられている所為だ。絶対そう。決して降谷にときめいてるわけじゃない。


「行くぞ」
「会計は?」
「もうした」
「私払うよ!いくらだった?」
「いや、いい」
「よくない」
「俺からのプレゼント」
「〜〜っ!」
「返品不可だからな」
「……アリガトウゴザイマス」
「なんで片言なんだよ」


せめて紙袋だけでも自分で待とうと手を伸ばすと、横から長い腕が掻っ攫っていく。行き場を無くした手は、もう片方の降谷の手に握りしめられていた。


「なぜ?」
「んーー、練習?」
「手を繋ぐ?」
「そ」
「練習する必要ある?」
「じゃあ、離す?」
「………」
「フッ」
「笑うな」
「はいはい」


あの子達に見られているとは知らずに、私達は次の目的地まで恋人繋ぎで歩いていたのだった。