06





午後七時。私は降谷にエスコートされ、鈴木財閥のパーティーに来ていた。


「何か凄い視線感じるんだけど、気のせい?」
「周りの連中がお前に釘付けなんだよ」
「……いつまでそっちで居るのよ」
「おや、お姫様はお気に召しませんか?」
「別に」
「で?お前はどっちが好み?」
「……どっちも好きじゃない」
「へぇ?」


気慣れないドレスと履き慣れないヒールは厄介だ。悔しいけど、降谷のエスコートが無いとちゃんと歩けない。


「腕じゃなくて、手の方がいいか?」
「大丈夫ですー!慣れるから!」
「そんな意地貼らなくても。たまには甘えてもいいぞ?」
「甘えるの意味違くない?」
「ん。行くぞ」


差し出された腕に手を添え、歩き出す。グレーのスーツに見慣れているから今日のような紺色は調子が狂う。おまけに狙っているのか私のドレスも紺がベースで完全にリンクしているのだ。


「本日はお招き頂きありがとうございます」
「うっひゃー!美男美女とは、正にこの2人の事を言うのね!」
「お、おい、蘭!もしかして、この方が安室の?」
「そう!安室さんの恋人の藍さん」
「毛利先生!ご紹介します。彼女が僕の恋人です」
「いつも彼がお世話になっています」
「お世話だなんて!私は何も。安室くんは凄く優秀ですよ」
「…お父さん…」


鼻の下を伸ばして手を差し出している姿は、あの有名な眠りの小五郎だとは思えない。初見では降谷の方が推理力も上に見える。何で毛利小五郎に弟子入りしているのか、全く分からないが降谷の事だ。何かあるのだろう。


「あれ?今日はコナンくんは…?」
「ガキンチョはキッド様キラーだから次郎吉おじ様に連れて行かれたわ」
「キッドって怪盗キッド!?」
「彼から予告状が?」
「コナンくんだけズルいですよ」
「私たちも少年探偵団なのにねー」
「なー」


自分達も行きたかったようだ。不貞腐れ気味に、残された探偵くん達はオレンジジュースを勢いよく飲んでいる。何となくその姿を眺めていただけだが、彼らは何かを思い出したようだ。あー!という声が響き渡る。


「やっぱり!安室さんと藍お姉さんだったんだね!」
「おおー!そうだそうだ!」
「私たち?」
「昼間お二人を見かけたんです!」
「手繋いで歩いてたよなー」
「え?!」
「まさか君たちに見られていたとは」
「正に!ラブラブってやつね〜」


小さな探偵達よ、そんなこと思い出さなくて良かったのに…なんて願っても、もう遅い。この後、キッドの予告状の時間まで根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。