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明日から帝丹高校へ潜入するため、今日は朝から公安部に来ている。


「おはようございます」
「おはよ」
「珍しいですね」
「明日からだからね〜。少しでもこの書類の山を片しておかないと」
「増えますからね」
「アイツが増やすのよ」
「……」
「ちょっと、リアクションしてよ!」
「いえ、それはちょっと」
「この部署に私の味方はいないわけ?!」
「心外だな。俺はいつもお前の味方だけど?」
「ふ、降谷さん!?」
「…げ」
「げ、とは何だ」
「今日は朝からポアロじゃなかったの?」
「顔を見にな」
「顔?風見の?」
「お前の」
「何で?割と顔合わせてるよね?」
「そういう事ではないかと…」


盛大なため息を吐き、午後はポアロに来いと告げ降谷は出て行った。え?本当に私の顔を見に来ただけだっていうの?


「謎だわ」
「……」
「降谷さん可哀想」
「佐野!?居たの?」
「ひっど!紫藤さんが気付いてないだけでずっと居ましたよ」
「嘘、ごめん」
「別にいいですけどー。傷付いたんで俺も行っていいですか?」
「行くって、お前…ポアロにか?」
「いやいやいや!俺も命が惜しいですよ!」
「降谷でもポアロに来たからって命までは取らないわよ」
「そ、それは!紫藤さんだからですよ?この際だから言いますけど、もっと自覚して下さい!」
「……何を?」
「俺、初めて降谷さんに同情します」
「お前はそれ以上何も言うな」


よく分からないが放っておくことにしよう。この山を少しでも片して明日からの潜入に備えなくては。それから数時間後、山のようにあった報告書は全て無くなった。


「終わったーー!」
「うおっ!突然叫ばないで下さいよ!」
「ごめんごめん。嬉しくて、つい」
「寿命縮まりますよ」
「ごめんって」
「佐野。お前はもっと自重するべきだ」
「へ?」
「何を?」
「いえ、降谷さんがあまりにも不憫なので」
「……謎なんだけど…。降谷んとこ行って直帰するね」


警視庁を後にして一旦家に戻りスーツから私服へ着替える。昼抜いてたなもあり、小腹を空かせて喫茶ポアロへ向かうと店内はいつもより空いていた。


「あ!藍さん、いらっしゃい!」
「こんにちは」
「随分遅かったですね」
「思っていたよりも誰かさんが残した量が多くて」
「誰でしょうか」
「誰でしょうね」
「え?え?喧嘩中ですか?!」
「違いますよ」
「違うけど、どっかの誰かさんが突っかかってくるんです」
「誰が突っかかってるって?」
「別に?自覚してないなら無視するんでいいですけど。お腹空いてるんで、ハムサンドください」


ああ、完全に売り言葉に買い言葉だ。オロオロしている梓さんに申し訳ない。別に喧嘩している訳ではないが、向こうがツンケンしてるのだから仕方ない。出来上がったハムサンドを直ぐに平げ降谷が接客している間に会計を済ませてポアロを出た。


「もう行くのか」
「仕事は?」
「大丈夫」
「そ。じゃ、準備あるから」
「……」
「何?」
「夜時間あるか?」
「あるけど」
「連絡する」
「分かった」


あんなのただの痴話喧嘩じゃないか、と思っていると接客をしていた筈の降谷が出てきて力強く腕を引っ張られる。本当に何なんだ。あれから降谷の様子は変だし、妙にピリピリしていて突っかかってくるのだ。連絡を待つと伝えると、何処か嬉しそうな顔をしながらポアロに戻って行って残された私は益々訳が分からなくなっていったのだった。