お師匠と雅風


やあやあどうもどうも記憶がINして暫くたった撃雅風だよ!!!
いやぁ、ほんとにビックリだよね!!頭打ったら記憶が入り交じってぐっちゃぐちゃになり数日生死を彷徨う熱が出るとかね!!!
驚きすぎてどうしようかと思ったよ!!!
てかここジョジョだよね?思いっきり波紋使ってるお師匠さんおるしさ!!
え?お師匠さんの名前?ウィルとしか言われなかったな!!苗字は秘密♡とかなんとかキャピキャピしながら言ってたよ!!いいおっさんがハートをつけて言ってきて引いたら修行が倍になったよ!!!理不尽!!
コホン……まあそんな感じで内心テンションあげないとっていけない私なんですが、今、大変な局面を迎えております。
なぜだか朝ごはんを食べた後、気を失った私は目が覚めると…潮の香りと共に目の前には真っ青な空が広がっていたのです……
そして、それだけならまだいいが、なぜだか体をグルグルに縄で縛られて師匠の漕ぐ小舟に載せられているわけなのだが……ほんとにどういう事なの???

「……お師匠」
「ん?どうかしたか?」
「いや、どうかしたかじゃない ……なんで私、縛られて船に、のせられてるん、ですか?」
「いやぁ、そろそろ刺激が欲しいかなっと思ってな」

ぽっとほっぺを染めながら言っても可愛くねぇからなジジイ!!!
半目でお師匠を睨みながら、どうにか縄を解けないか、そう思い手首に力を入れた時……船の後ろの方になんか黒いヒレみたいなものが見えました。
ヒレみたいなものが見えました!!!!
さっと血の気が引き、瞬間、生命の危機を感じた私は、なんとか腹筋を使い上半身を起こせば……そこには船の周りを泳ぐ鮫だろう影が沢山見えました……
やばい……これは、やばい……

「刺激なんていらないです……、お師匠と居るだけで刺激的、な日々を送って、ます!」
「まあまあそう遠慮するな」
「遠慮なんてしてない、早く、家に帰りましょ?今日のご飯は、お師匠の好きな物、に、しますから、ね?」

普段どもってしまう私でしたがこんな時にはなんかもうそんなの取り払ってしまうようです。早口にね?ほら、だから帰りましょうよ、お願いですから、ね??ね??と一生懸命に頼み込む。
波紋法使えるにしても、この鮫だらけの海に放り出されたりしたら私死ぬのではないだろうか。
だがしかし……私のお師匠は修行のことになると鬼である……という事を私はこの時再び思い知ることになる。

「そうか、好きな物か……実はな……わし……フカヒレが好きなんじゃよ……」
「嘘でしょお師匠」

きゃっ!!いっちゃった!じゃないからね??なんでそんなにだから乙女チックなのお師匠。嘘でしょお師匠。
それってつまりあれを狩って来いってこと???嘘すぎじゃない???ねえ、なんでそんなあれなの???ねぇ……

「いやほんとほんと、わしフカヒレが好きで本場で毎日食べてたんじゃもん!」
「いや可愛こぶるなよじじッあーーー!!!ごめんなさいごめんなさい!!お師匠様やめて私死んじゃう!!!死んじゃうから!!!!」

思わず罵倒が出た瞬間、そぉれ!とお師匠が突然私の体に巻かれた縄を引っつかみ、船のふちにぶらんと宙吊りにし始めた。
いやホントやめてこわいこわい死ぬから!!私!!!死んじゃうよお師匠!!!
半ば泣きながら彼の方を見れば、スっと、何やら冷たいものが手にあたる。

「安心せい……縄はちゃんと切ったし、ほれ、わしのナイフを持っておゆき」
「ナイフでどうにかなるかーーー!!!!!!あ゙!?」

生まれて初めてこんな大声を出したと思う。
噎せそうになった瞬間、ロープが解け水面に顔面から着水した。
慌てて目を開けてみれば、いるわ居るわ鮫の軍団。
ひえっと声を漏らし、口から盛れる空気でぶくぶくと泡が浮かんでいけば、こちらに気がついたらしいサメが1匹……

心の中で盛大に叫びながら、水中での突進をなんとか避け、水面にあがり、心臓をバクバクいわせながら呼吸をする。手に纏わせて、ぐっと水面に両手をつき、身体を持ち上げて水上に浮けば、小舟の上で満足気に頷くお師匠が……おい。

「よしよし、水上歩行はちゃんと習得できてるようじゃのぉ」
「…………お陰様で……」

声に怒気をのせつつそう言えば、すっと、遠くに見える島を指さされる。

「ちなみに陸はここから真っ直ぐ北に向かったところじゃから間違えるんじゃないぞ」
「え」

ちょっと待って???もしかしてそれって……
口元が引くつくのを感じながら、まって、ちょっと、と言えば、お師匠は、それじゃあ陸で待ってるの!フカヒレ楽しみじゃわい!!と声を上げながら船のオールに手をかけた。

同時に、水面から鮫が2匹、私に体当たりをするように飛び出し、慌てて後ろにジャンプしてよければ、ああそうじゃった、と、よたけばかりの私に彼は振り返る。

「生命を操る波紋を使えばすぐに陸につけるじゃろうな、それと、食われるなら丸呑みがいいぞぉ、すぐに死なんから腹を破ば助かるからなぁ」

GOOD LUCKと、そう親指をたてるお師匠を見て、
私は……初めて、人に殺意を抱きました……

漕ぎ出した船はお師匠が舵を取っていることもありすぐに距離を取り出した。その間にも、私を食べようと、私の足元には水中を旋回する鮫、サメ、さめ……うふふふふ……

「にがさ、ない……」

今までで一番大きな鮫が水面から姿を表すと共に、体にめぐらせる波紋を片脚に集中し、水面に思いっきり叩きつける。
水から伝わる波紋の速度は通常より早く、身体を麻痺させるように、私の近くにいる鮫達に電気ショックの様にそれを浴びせ、水の表面をコンクリートのように固め、横に1歩避ければ、私のいた所を通り過ぎ、打ち上げられた鮫が水上でのたうち回った。
びたびたと激しく身体を動かす鮫に、拳を握ると、サメの急所と言われている鼻先に、それを振り下ろす。

イメージするのは直接脳に作用する波紋。
生物は脳からの電気信号で体を動かしている。それを応用した波紋法、生物に暗示をかけたり記憶を呼び起こしたりする応用法だ。
今回はお師匠の船を沈没させるために暗示の波紋をこの私なんてまるまる呑み込めそうな大きな鮫に、かける。

ただ、これをする時の問題は波紋の力が強すぎると相手がパンクして気絶してしまったり一部記憶が飛んで言ったりなんだりする事だが……今はそんなこと気にしてられない。今すぐ、かの暴虐のお師匠をとっちめてやるのだ。
拳を入れ、大人しくなった鮫を海に落とせば大人しく私に背を向け、乗せてくれる。
背後にぷかぷかと浮かぶ気絶した鮫達を見なかった事にしながら、ザラザラとした鮫肌をぽん、と叩く。
さあ、首をあらって待ってろよお師匠!!!!!!!




この後めちゃくちゃお師匠に叫ばれた。


 大正コソコソ噂話
雅風のお団子カバーは入隊祝いにお師匠から贈られたもの
なんだかんだ親みたいなものなのでお師匠のことは好き
お団子なのは髪が長くて戦闘の時に邪魔だかららしい
髪を長くしてるのは綺麗だと言われたから
唯一女らしくできるのここかなと結構頑張ってお手入れしてた

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