3-1


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 やあやあどうも!
 蝶屋敷で錆兎服を剥ぎ取って“服を剥くんじゃないっ!!!それと脚をはだけさせるな!!”って涙目になって怒られた撃雅風だよ!え?剥いて治療したのは1回じゃないのかって?そんなの骨折とか大きな傷が治るまでやる気決まってるじゃんかーーーうふふー!
……まあ実際美少年……いまは美青年だけどそれの泣き顔にそそるものがあるよなとか考えてもないんだけどね!ついつい可愛いものっていじめたくなっちゃうよね!ごめん!

 ふう、まあとりあえずそれは丸めて川に流しておくとして…………錆兎が水柱を降りた。あの怪我では前のように戦えない、戦うにしても時間がかかると自ら辞退したのだ。そして、義勇くんが水柱になるよう御館様に推薦した、とこの間治療した時にぽつりぽつり、と話していた。まあそれで、義勇くんが水柱になったんだけど……
 それをね?柱合会議で話すことになったんだよ。そんでもって、錆兎に、義勇くんが心配だから一緒について行ってやってくれないかと言われたの。
 でもね?私……柱合会議一番最初のやつ以外出席してないのよね。なにか重要事項のことがある際は少し先に行って要点だけ聞いて帰ったり、とにかくそう、印象がね、悪いの。
だってそういう会議って出た事ない。怖い。意見求められても困るし、変なこと口走りそうだし……
 それと、私あれなんです。声の大きい男の人がちょっとというかだいぶ怖いんですよね。いい人よなと思っても、一回一回大きな声出されると怖くない?びっくりしない?自意識過剰かもしれないけれど、そういう苦手なものを私は避けてたわけですはい。
え?錆兎と義勇くんは平気なのかって?いや、あそこは騒がしいと言うよりもかなり静か。
 特に義勇くんはめちゃくちゃ静かだしはっきりいってかなり楽。あれだよ、ほら、友達でもただ一緒にいるだけで特に何も会話しないでも気まずくない子とか居たりするじゃん?あんな感じ。
ただたまにでる言葉の少ない発言についてはどうにかした方がいいとは思ってる。本人何も分かってないけど。まあ、うん、かわいいからいいや……いや、放り出しては……ない……よ……うん……
げふん、話が脱線しましたな。
 まあ、そんな感じだからあまり会議には出席はしたくないんだけど……錆兎の頼みだし、何より義勇くんの柱デビューだから行かないわけにもいかないんだよね。
まあ為せば成ると、そう思うことにしとこう。うん、もしもの時は私にヘイトを集めて逃げればいいしな、うん、うん…………



 そんなこんなで来ましたよ柱合会議!御屋敷おっきすぎてしり込みしそうてか普通にしてるよ……こっわまじこっわ、あれだよね?言ったことない高級料理屋とかにお偉い方と一緒に放り込まれる緊張感。ひええ、粗相したら首落とされそう……まあ落とされないけれど気持ちね?きもち、。そろーっと、私の後ろにいる義勇くんに目を向ければ……なんか無表情で驚いてる。くっっそ分かりにくいけど、驚く程に表情筋が無だけれど、驚いてるのはなんか伝わってくる。

「こっち」
「ああ、」

 屋敷内に入れば、まだ柱自分たち以外の柱はいなかった。まあ、とりあえずは義勇くんの印象をなるべくならいいものにするために30分前行動(実際に着いたのは40分前だけれど)をしたのだけれど。とりあえず、下手に散策をしても確実に迷うので、柱合会議をする部屋の前にある庭園で時間を潰すことにした。
 何畳あるんだろうな、と思うほどに広い座敷、その目の前にある庭園は何度見ても見事、という言葉に尽きる。手入れされた松の木や大きな池、その中で泳ぐ錦鯉は模様が整っていて美しい。池にかかる朱色の橋が庭園の緑色とはコントラストになっていて、全体がひきしまる。遠くに見える藤棚や、植えられてる今は葉のついてない木は春には桜を咲かせるのだろうか、と考えると少しうきうきする。とってもみたい。
しまった、つい自分の世界に入ってしまった。ぼーっと佇む義勇くんに少し申し訳ない気持ちになりつつ、とりあえず何か暇つぶしを……と考え、鯉に目が止まった。

「……鯉の餌、あげれるかな」
「聞けばいい」
「義勇くんもあげる?」
「ああ」
「そう」

 とりあえず、鯉にご飯あげることにした。たまたま通り掛かった使用人の人、丁度鯉にご飯を上げるとこだったらしい。自分たちがやってもいいかーと聞くと、笑顔でどうぞーと掌に餌を包んだ紙を落としてくれた。ええ人や。
 そのまま義勇と池付近に行って鯉にご飯を上げる。バシャバシャ音を立ててこっちに口を大きく開けて跳ねるのがなんか見てて楽しい。そして、なんか隣の義勇くんは的確に鯉の口の中に餌をホールインしていってる。下からぽーいって優しい投げ方なんだけどひとつも外さずに順番に上げてるみたいだ。
何この子めっちゃ器用!

「おもしろいね」
「ああ」
「この子、模様可愛い」
「…………」
「あの子は真っ白」
「そうだな」

 バシャバシャしてる鯉を指さして模様の話をすれば、たまにコクリと頷きつつ、義勇くんは付き合ってくれた。優しい。鯉の餌をやり終わる頃には、会議の始まる時間は後15分程になっていた。準備のいい使用人が用意してくれた濡れた手拭いで手を拭いて、空になった紙の包みを渡す。
あと少しで誰か来るかなーと思っていれば、廊下の奥でなにやら音が近づいてくる。

「陽柱か。貴様が来るとは、今回の会議はそれほど重要なものなのか?」

 それは、現炎柱である煉獄杏寿郎の父、煉獄槇寿郎だった。酒の匂いをさせた彼は、眉間に皺を寄せて、じっと私を見下ろして来る。

「重要かどうか、それは貴方が聞いて、判断、するといい。私は、新しく水柱になった、彼の、付き添い人、でもあるの、から」
「その羽織り、炎柱か。錆兎から話は聞いている。冨岡義勇だ。」
「ふん…付き添いとは、何時も柱会議を抜け出すお前らしくもない。なんであれ、貴様のことは気に食わん。さっさと視界から消え失せろ。」
 「失せろというのなら、私のことなど見なければいい。私は私のやることをやるだけのこと。」
 「そういうところが気に食わんと言っていてるのだ!!」

 怒声が響き、無意識に肩が揺れる。
 元々体格や声のでかい彼、現炎柱の煉獄槇寿郎さんは私のことをよく思っていない筆頭であり、何かと睨みつけられるのが常だ。昔はああではなかったと悲鳴嶼さんが言っていたので、きっと彼の中でどうしようもない鬼狩りとしての葛藤と、亡くなった自分の妻の事で精神的に参ってしまっているんだろうと思う。
 とは言っても、それで人に当り散らしいていい訳では無いのだが。

 「そう…なら、話すことは、ない。私のこと、居ないものとして、そうあつかえばいい。」
 「ふんっ!…この小娘が」

 わざと身体を当てて、御館様が現れる部屋の前へ行く彼に義勇くんがキッと目頭を釣りあげて、睨みつけ、私のことを支えてくれた。なにか言おうとする口を止めるように、慌てて羽織を握れば、不満そうな顔をされた。

 「雅風…」
 「いいの……本当のことだもの…」

 それにしても、義勇くんに何も言われなくてなく良かった。その事にほっとしていると、ぽすっと頭の上に大きな手が乗っていた。

 「ま、あれが槇寿郎さんから雅風への何時もの態度だから気にしてもキリがねぇからな。」
 「宇髄、気配を消して頭撫でるの、やめて」

 手を払い除けて、義勇くんの後ろに隠れる。するとけたけたと上機嫌に笑って腰に手を当てた。
 さすが元忍びといった所か、気配を消すのが上手すぎて気が付かなかったことを悔しく思う。
 そんな私の反応に、さらに気分を良くしながら1歩、私と義勇くんに近づいた。

 「いいじゃねぇか減るもんじゃねぇし。丁度いいとこにあんのがいけねぇんだろ。それより、その地味そうなやつが錆兎の言ってた新しい柱か。」
 「宇髄……錆兎の言っていた音柱か」
 「話は聞いてる。まあ、それよりも成長期だってのに相変わらずちいせぇな雅風は」

 出会った頃から変わらねぇなと言われ、手が伸びてきたので叩き落とす。

 「そういう呼吸だと、前にもいった。ので、私の成長期は、永遠」
 「と、いいつつこのまま成長止まったりしてな」
 「確かに…出会った当初から変わらないと思っていたが…」

 確かにってなんでよ義勇くん!!ブルータス!!貴様もか!!すごいしみじみと言われたのが余計心に来て大変遺憾の意なんですが!!
 まあ確かに君は成長期来て身長伸びたもんね!!私が隠れれるくらいに!!

 「義勇くん、宇髄に、のらないでいい…」
 「?」
 「男女では成長期が違う」
 「だとしてもちびすぎんだろ」
 「チビ言うな巨人」

 思わずノンブレスで言えば祭りの神と言え!!と訳のわからんことを言われ、義勇くんはまつり…?と、素で頭を傾げ、宇髄は義勇くんに、自分はド派手な祭りの神的な自己紹介してた。
 なんかもう収集がつかなさそうなので御館様が来るまでそっと離れていたのは許して欲しい。今度鮭大根沢山作るので。

 そんなことがありつつ、現役の柱が全員集まり、柱会議が開かれた。
 開かれる直前、御館様が来た時本当に後光が見えた。だって皆一斉に口を閉じて整列して膝を着くんだもの。私も勿論着いたけど、それにしてもこんな個性的な面子を纏める御館様の手腕が凄すぎて尊敬という言葉では足りないくらいだ。

 会議の議題については、上弦の鬼……上弦の肆との戦いで錆兎が水柱を降り、冨岡義勇が新たな水柱になるということ、そして……最近なにやら鬼の活動が不穏だということ。まるで、何かを探しているような動きらしい。明らかに竈門家探してますねわかります。
ていうかホントに錆兎よく生きてたな。上弦の肆て半天狗だよね?
 あの分裂していくやつ。ほんとに、ほんとに生きててよかった……
そうほっといしていたのもつかの間、御館様は、私に目を向け、何やら意味ありげににっこりと微笑んだ。

「雅風、鬼舞辻無惨が探している物で、心当たりはあるかい?」
「え、」

 いや、なんで私に今聞いたのかな???
固まった私に、柱全員の視線が突き刺さる。しまった、こんな反応したらあるって言ってるようなものじゃないか。いや、でもこれ言っていいの?でも、理由とかそういうのは?不自然に取られたりするんじゃない??握った手にじわじわと汗が滲んでいく。ひええ

「あいまいな情報は、みかたを、こんらんさせるのでいえない、」
 「何を巫山戯た事を……前々からなにかあると思っていたが……御館様の前で黙秘できるとでも思っているのか?
 不敬に値するぞ!!」

 呼吸を使ったのか、一瞬で私の目の前に現れた槇寿郎さんに、大きな音を立て、胸倉をぐっと掴み、吊るされるように立たされた。私の顔は真っ青になってることだろう。頭をブンブン横に振ってできないといえば、更に視線が鋭くなり、今すぐ知っていることを吐け!!!と怒鳴られる。
 ひえぇぇぇぇお助けえぇぇ!!

「まあまあ、槇寿郎さん、雅風ちゃんははちゃんとした情報を目下収集中ということではありませんか。あまり責めてしまうのはどうかと思いますよ?」

あなたが女神か!!!カナエさん!!!
そしてなんかまたまさわちゃわちゃと騒がしくなりそうになった瞬間、御館様がしぃ、と人差し指を口元に指した。その瞬間騒がしさが嘘のように消えた。え、すご。

「雅風、その考えを観まみづ、すまなかったね。槇寿郎、どうか雅風を離してあげてくれないかな。」

 御館様の言葉に、流石の槇寿郎さんも歯をギリっと鳴らして私のことを突き放すようにして解放した。
 首元が閉まっていたので苦しくて、少し咳が出る。

「ありがとうございます、御館様、」
「いや、私が君の頑張りに口を出したのが原因だ。本当にすまない。雅風が頑張ってくれていることは、きちんと理解しているよ。」
 「御館様……ですが、雅風が何かを知っているのが事実であるならば、情報は公開した方がよろしいのでは?」
 「でも、雅風ちゃんの言うように、不確定要素があると言うなら、雅風ちゃんが報告をまとめられてからにした方がいいんじゃないかしら。」
 「皆、落ち着こう。ここは御館様の御心のままに、話を聞くべきだ。」

 悲鳴嶼さん、つまりそれは話せということでしょうか?
 そう思っていれば、ほほ笑みを浮かべた御館様が私をじっと見つめてきた。

「ああ、そうだね……私としては、不確定要素があったとしても、雅風の考え方は少し視点が違って面白いから、皆に聞かせられればと思ったのだけど……鬼が増やされている理由、とか……ね?」

ひぇぇこの人喋らす気満々だよたしゅけてえええぇ!!
今にも私卒倒しそう。
しかも御館様めっちゃなんか楽しそうなんだけど!ふううーって感じの目をしてる!

「鬼が増やされる理由?」
「自分の手勢を増やして鬼殺隊をつぶして人を殺すだけじゃないのか」

なんか後ろでごにょごにょ喋られてるぅぅぅぅ!
御館様?!その、ほら、がんばって!輪にはいるなら今だよ!みたいな幼稚園児にむける母の視線を私に向けるのやめてもらえますぅ????
まあでも、鬼についてのやつは御館様にもすごい前に言ったし、なによりこれについては的を得ていることもあるから、話せることであるんだよね。
……あれ?しかもこれもしかしてチャンスなんじゃないか?ここで、鬼の印象を少し変えるようなことをいえば、後々鬼の味方………禰豆子ちゃんとか受け入れられやすくなるのでは?
じーっとまた集まる視線に耐えつつ、私は頭の中での考えをなんとか言葉にすることにした。緊張でカラカラにわかいた喉を唾で何とか潤し、一呼吸。


「……鬼舞辻無惨が、鬼を増やすのは、本当は不本意、なんだと思う」
「はぁ?」
「理由は幾つかあるけど、まず、第一に、鬼舞辻無惨は情報漏洩を一番に恐れてる。口の軽そうな鬼たちに尋問して聞いた。でも、その度に彼らは怯えて話せなかった。私に脅えてたんじゃない、彼らは鬼舞辻無惨に怯えてた。その理由は……知ってる人も居ると思う、鬼舞辻無惨、これの情報を与えようとした瞬間に彼の細胞がその鬼を取り殺すから。これは情報の漏洩を恐れた結果の対処法、でも、それを考えると、とても、それは不本意なんだな、と思った。だって、鬼を増やすということは、彼の情報を彼自身が増やすことと同義だから。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……確かに、俺もその光景を見た事はある。けど、それだけで鬼を増やすことが不本意であるとなぜ言えるんだ?」
「宇髄の疑問は最も。だからこそ、思ったの。そもそもの話、その、情報漏洩をしようとした鬼を取殺す。これから、鬼舞辻無惨は、彼等、自分で作った鬼の動向、それ事態を把握しているといえる。とても労力がかかるし、とても面倒。それに、言い方はとても悪いけれど、鬼は増えることで、食い扶持が減る。管理がずさんになる。」

ここまで何とか一息に話せば、確かに、と考え込むものと、まだ何やら何言ってんだこいつ、とばかりに視線をよこしてくる人にわかれた。よしよし。
目を瞑って、真っ黒の視界の中で、ただ考えをめぐらせる。

「つまり、どういうことだ」

槇寿郎さんの声が聞こえた。

「わたしは、ずっと考えてた。鬼舞辻無惨はただ、鬼を無駄に増やしているんじゃ、ないんじゃないかって。鬼の血鬼術は鬼たちの人だった頃の一番名残、一番に望んだものが元になっている。死に際に、最後まで願うほどの。その中で、もし、太陽を望んだ鬼が居たら?」

はっ、吐息を飲む声が聞こえる。
この世界の人達は、鬼殺隊の人達の共通認識は鬼が太陽を浴びると死んでしまう。ということ。それは、彼らの中で殆ど決定事項になってしまっているんだ。だから、盲目的に、みえてない。見えてるはずのそれが見えなくなっていた。そう、仕組まれていた。
誰だって最初はありえないって思う。そう、イレギュラーな何かがその輪に入り込まなければ。

「確かに、私の見てきた鬼たちは皆、太陽に強い恐怖心を抱いているように見えました。でも、そんな鬼が本当に存在したとしたら……」

 顔色を悪くして、カナエさんが思考をめぐらす中、私はさらに言葉を重ねる。

「鬼舞辻無惨が鬼を増やす理由、それは太陽を克服したいから。彼は多分それを叶えることを願っている。だから、鬼を増やす。人を殺す。
……でも、それはとても変質的なもの。太陽をもし克服する鬼がいるとして、それはきっと鬼舞辻無惨から解き放たれた鬼しか無理・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それは一体なんで?」

御館様が優しく論する。

「彼は、太陽が怖いから。心の底から求めると共に、それ以上に多分、死ぬことのことが、怖い・・・・・・・・から、だから心から求めることが出来ない・・・・・・・・・・・・・。根付いてしまった恐怖や、染み付いてしまったものは全ての支配下の鬼にきっと伝染する。そうしてしまえば、彼の求める鬼は生まれない。生まれることは出来ない。きっとそのことに彼は気がついてないんじゃないかと思う。
だからこそ、ほんとうに、鬼舞辻無惨の支配から逃れる鬼がいたらそれは……太陽をきっと克服してしまうんじゃないかと思う。」

そう、だから禰豆子ちゃんは太陽を克服することが出来たのだろう。何重にも絡みついた鬼舞辻無惨の呪いを解き、彼から逃れたからこそ、心から太陽を望むことが出来た。兄である炭治郎と外を歩くことを願うことが出来たのだ。
だからこそ、私は今背筋が凍るほどに震えた。その事だけのために何万人もの人々を食い物にした異常性を持った鬼舞辻無惨が、恐ろしいと思った。

気がつけばどくどくと恐ろしい程に心臓が跳ねていた。それを鎮めるように、深呼吸をしてから、ゆっくりと目を開ける。

「飛んだ与太話だ」

そういったのは案の定、槇寿郎さんだった。

「いくらなんでも現実味がない。そんなことをいちいち信じると思っているのか?御館様も、こんな話を信じておられるのですか?」

 イラつきと、そして、困惑、不安、嫌悪、それらを含んだ声音に、御館様が優しく諭す。。

「そういうのは無理はないけれど、でも、私は雅風の言葉はとても的を射ている。そう考えているよ。そして、もし、彼女の言うような鬼が現れたら鬼舞辻無惨が動くだろう、ともね。」
「っ、」

御館様の言葉に、ぐっと息を詰まらせた太陽を思わせる双眸が、私のことをギロりと睨みつけてきた。こわい。そして、鬼舞辻無惨が動くだろう、と言葉に柱全員がぴくりと反応していた。
多分これでそういう呪縛を解いた鬼に対する扱いが違ってくるのかな。

「雅風、こういう場が苦手なのによく頑張ってくれたね。君の調査が上手くいくことを願っているよ。」
「は、い」
「では、この度の柱会議については、ここまでとする。鬼舞辻無惨や、十二鬼月についての調査についても任せたよ。期待しているよ可愛い私の子供たち」

そう、微笑んだ御館様は、退出した。頭がとてもぼんやりとする。なんかちえ熱が出たんじゃないかってくらい。やっぱり慣れないことをするとんじゃなかった。
はーーーっ、と深い溜息をはき、ゆっくりとふらつきつつも立ちがある。

「…………」

少しよろけたところを義勇くんが支えてくれた。ありがとう友よ。
そう思っていたら目の前にいつの間にか、槇寿郎さんがまた近づいてきていた。私を庇うように前に出た義勇くんを見て、ひとつ舌打ちすると、刀を触りつつ、ドスの効いた声を発した。

「貴様が何を言おうと、俺は信じない。与太話にも程がある。柱としての自覚が足りないんじゃないのか。」

 そう、キツいお言葉を頂きました。今のあなたに1番言われたくない言葉なんですが?
 そういうのを何とか耐え、腸が煮えくり返ったような態度で、足早に槇寿郎さんは去っていった。
 それに緊張していた私は気が抜けて、つい義勇くんに寄りかかってしまう。本当に頼りない歳上でごめんねと思いつつ、ありがとうと言えば、大したことじゃない。と、優しく受け止めてくれる義勇くん。ついきゅんとしてしまったのはきっと仕方の無いことだと思うの。
 そんな私のすぐ近くに、微笑みながら、カナエさんがやってきた。

「あんなに話す雅風ちゃん、初めて見たかもしれないわね。」
「カナエさん!」

思わず衝動的に癒しを求めてだきつけば、あらあらと笑いながら受け入れてくれるカナエさんマジ女神。

「それにしても、御館様の言うように、やはりあなたは独特な考えがあって興味深くて、なかなかに考えさせられたわ」
「そう、かな……視点を変えて、考えてみた、ただ、それだけ、だよ。」
「だとしても、普通太陽を克服しようとしている鬼を探してる……だなんて、誰も想像もしないだろ。やっぱりお前頭のネジ数本抜けてんじゃないか?」
「数本と言うより、全部抜けてる人に言われたくない」
 「んだとこのどチビが!」
 「だが、雅風の考えにも一理ある。本来ありえない存在である鬼が蔓延っているこの世。ただ鬼を倒すだけでなく鬼舞辻無惨や上弦の鬼たちを誘き寄せる手がかりとなり、奴らを倒す可能性が生まれるかもしれん。」
 「悲鳴嶼さん……」
 「だが、鬼は鬼。たとえ呪縛を解き放とうとも、人を喰ってしまった鬼ならば、直ちに住民の安全を考え、殺さなくてはいけなくなるだろう。我らは鬼殺隊の柱である以上、その自覚を持ち、行動しなければならん」
 「それは……」

 これから先起こるであろう、炭治郎達にとっての悪魔の証明。食っているか食っていないか。
 それを判断されるために行われることを思い、頭が痛くなる。せめて、なにか対策を考えねばならないだろう。

 「承知、している。それが、責務だから……」
 「ああ、南無阿弥陀仏……雅風、お前は抱え込みがすぎる。鬼を殺すのは我らの責務。自分だけとは決して考えないように気をつけなさい」
 「悲鳴嶼さん……」
 「私はそろそろ行こう」

 微笑んで、私の頭を一度くしゃりと撫で、では、と、任務があるらしく足早にその場を去っていく悲鳴嶼さんを見送り、大きな手を乗せられた頭を自分で一撫でする。大きな、そして、武器をずっと握り続けて固くなった皮膚をした手。自分とは比べ物にならないそれは、彼の強さを肌で直接表してる様だった。
 そんな彼の背を見送りつつ、カナエさんも、
 
「もう少し話したいですが、今急患が入ってしまったようなのでお先に失礼しますね?
 それと、雅風ちゃん、この間のあのしふぉんけーき?とっても美味しかったから、是非また作ってきてくれると嬉しいな」

そう言ってから一度ぎゅっと強めに抱きしめられたかと思えば、ふわりと花の香りを残しつつ、カナエさんの体から離れ、また蝶屋敷で、と、その一言をいわれ、彼女も足早に去っていく。

 その後は、宇髄が義勇くんの柱への昇格祝いとして、何故か私も一緒に引きずられるように定食屋へ連れていかれ、色々食べさせられましたよ。見てるだけでお腹いっぱいって言葉の意味をその時知ることになりましたよ。

その時に、なぜだか義勇くんに、さっきの話で、もし、不確定要素の鬼が現れるとしてどんな鬼だ。と聞かれ、人を食べずに守る鬼、と答えた時とても間抜けな顔をしていた。そして、からかわれたとおもったのか、口をへの字に変えていた。まあこれがのちのちホントのことになるから……うん。


 月日がたち、錆兎の傷が治った。それでもって、彼は刀鍛冶に義手を頼んだらしい。何でも、義手の中に刀を仕込むそうで、今までとは違う刀の使い方になるそうだ。
 普通の刀も使うために、その腕の扱いになれるため、一度鱗滝さんの元へ戻って体の感覚を取り戻すのだと言っていた。その事を聞いてとりあえず頑張ってと手紙を送ったら気味悪がられた。何故だ。
ただ純粋に心配しただけなのにその反応は傷つくぞとサブレに今度手紙送った時には頭をつつき回しちゃえといえば「ソレハムリッポウ!!」と言われた。なんでも嘴からの反動で頭が回るからだそうだ。でも君私の事起こすときには何時も頭つついてきてなかったかな?
 それを指摘した瞬間に逃げ出したサブレを引っ捕まえたのは言うまでもない。




とっぷ