幼い頃の私は人見知りでは臆病な子供だった。
でも心の声だけは煩いくらいに元気で、性格と心の声の違いの大きさに戸惑い怯えて隅に縮こまって泣いている子供だったのだ。
そんな私の心の声を汲み取っていつも陽だまりの中に連れ出してくれるのは父や母でもなく咲ちゃんだった。

「あおのこんなところにいないでいっしょにあそぼ?」
「あおのがあそんだらなにかこわしちゃうもん…みんなにこわがられちゃう…きらわれちゃう」

咲ちゃんは優しくてカッコよくて迷子になりそうな蒼乃の心の道しるべを作ってくれていつも傍で手を引いてくれる蒼乃の大好きな王子様。それは今ずっと変わらない。
きっとどれだけ年月が経とうとも咲ちゃんは蒼乃の憧れの存在なのだ。

「あおのがものをこわさないようにやさしいさわりかたをさくらがおしえてあげる」
「…うん」
「もしこわしちゃったらさくらがみんなにあおのはわざとこわしたんじゃないんだよっていってあげる」
「…うん」
「それでもあおののことをひどくいうこがいたらさくらがそのこからまもってあげる」
「うん」

いつも守ってくれた。守ってもらってた。
あの日だって私は咲ちゃんに守られた。
そのせいで咲ちゃんは自由を失ったのにそれでも咲ちゃんは今でも私のことを守り続けてくれている。自分を犠牲にして。

「」

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