五つ子の流星群



一体、どっちなんだろう。純粋に歌を褒めてくれているのか、試しているのか。静かな眼差しに、冗談だって笑う気配はない。


ふつふつ浮かぶ驚きと戸惑い。今、たった一言伝えれば前に進めそうな淡い期待が喉元で燻る。反面、考えれば考えるほど、不安も等しく押し寄せる。大丈夫って確証は何もない。

は?って顔をされたらどうしよう。
微妙な空気になったらどうしよう。

上手く流せばまた次があるかもしれないのに、ここでしくじったら、もう友達にすらなれない。でも、どうせ残された時間は卒業まで。言わなかったら言わなかったで、きっと後悔する。誰の目もない部屋で二人っきり。どっちに転んでも、後数分でバイバイだ。こんなチャンス、二度とないかもしれない。

それなら、それなら、さ。


「……勘違いじゃないよ」


佐藤の応援に背中をめいっぱい押してもらいながら、カラカラの喉へ何杯目かの白ぶどうを流し込む。


「片想い、してるから」


持ったままのグラスをぎゅっと握り締めながら顔を向ける。今にも破裂しそうな心臓が、うるさくて痛い。

不安と期待が入り混じって、スピーカーから流れる曲紹介が遠くに聞こえる中。目を真ん丸に見開いた黒尾くんは、ぶわっと赤くなった。逆にこっちの目が点になるくらい、それはそれは真っ赤っ赤。


「黒尾くん?」
「……ちょっと今見ないでクダサイ」
「もしかして照れてる?」
「そーいうこと言うなって、っちょ、近ぇ」


ずいっと寄って顔を覗き込むなり、片手で隠すようにしながらそっぽを向かれた。物珍しさに思考が止まって数秒。ふわふわ浮上し始めた嬉しさを噛み締めながら、もう一度名前を呼ぶ。



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