あら、良かったじゃない。今度紹介してね。
お決まりのニコちゃんマーク付きのメモ。お母さんの可愛い字は、心なしか躍っているように見えた。きっと喜んでくれている。そうだったらいいなあって、電子レンジのボタンを押す。
待ってる間に開くのは、専用フォルダに振り分けた赤葦とのメール文。
“今日も有難う( ´ω` ) いつもごめんね。一緒に帰れて嬉しかった"
最後の一文はどうしようか迷ったけれど、結局そのまま送信した。少なくとも悪い気はしないはずだ。私が貰った幸せ分、赤葦にもプラスになるよう返したかった。まあ仮に引っかかったとしても、適当に流してくれるだろう。彼はきっとそういう人。
それでも幾分不安はあって、返事を見たのはベットに入ってから。新着メール一件表示に心が揺れる。
“どういたしまして。喜んでもらえて、俺も嬉しいです"
一瞬の内、脳も肺も心臓も、全機能が止まったように感じられた。何も考えられなくて、ただ湧き上がるのは愛しさで。
なんでこんなに優しいんだろう。どうしてこんなに、柔らかいものを包むみたいに気を遣ってくれるのか。部の主将と仲が良い先輩だから。本当にそう? 本当にそれだけ?
「……、」
動き始めた鼓動が、どくどく脈を打つ。
苦しい。恋って、苦しい。