14

聞き慣れた目覚まし音。起床とともに携帯を探り、届いていた赤葦からの“おはようございます"メールに幸福感をもらう。朝ご飯を食べながら洗濯を終わらせ、身支度を整えてから部屋の電気を確認。ローファーを引っ掛け鍵を閉め、行ってきます。返事を打つのは電車の中。おはよう赤葦。

教室に着き、今度は声に出して「おはよう」の応酬。適当に授業を受けて適当に駄弁り、たまに居眠りなんかして。いつもと変わらない学園生活を色付けるのは、合間に届くメッセージ。誰かは言わずもがな。

放課後は、部活に顔を出したりバイトがあったり。赤葦と鉢合わせた時は、暗黙の了解で一緒に下校する。明かりのない家に帰って冷たいご飯を温めながら、お母さんと手書き文字のやり取り数行。そうしてやっぱり赤葦からの“おやすみなさい"で一日を終える。また朝が来て、目覚ましが鳴る。


そんな日常を繰り返し、一ヶ月が経過した。

ベッドでだらだら。惰性を貪り放題の今日は日曜日。お日柄も良く、お昼寝には絶好だ。ついさっき起きて赤葦に返事をしたばかりだけれど、もう一眠りしようかなあ。なんて欠伸をすれば、着信を告げるライトがチカチカ点滅した。


prevnext


back



back to top