04

赤葦の“聞きたいこと"は、いくつかあった。

木兎とはいつからの付き合いなのか。バレー部の皆とはどういった関係性なのか。マネージャーになろうとは考えなかったのか。

きっと今まで、それなりに戸惑っていたのだろう。思えば彼にとっての私はあくまで“たまにバレー部へ顔を出しては部員と親しげに話す上級生”だ。部員でもなければ、マネージャーでもない。接し方に迷っているような節が、何度かあったことを思い出す。


「なんかごめんね」
「いえ、気になっただけなので。俺こそ立て続けにすみません」
「大丈夫だよ」


少し下がった形のいい眉に軽く手を振り、ひとつひとつ言葉を返す。

木兎とは親同士の仲が良く、小学校からの付き合いだ。現三年生のバレー部員は、木兎が一人ずつ自慢げに紹介してくれた。マネージャーにならないのは、元々スポーツが得意ではなく、今の部活と掛け持ち出来る自信がないから。


「平たく言うと、木兎の保護者みたいな感じ」
「じゃあ誰かとお付き合いされてるわけではないんですね」
「あー、まあ彼氏ってよりは友達だよね。完全に」
「ってことは、今フリーですか?」
「うん」
「そうですか」


ゆるく息を吐いた赤葦は心なしか安堵しているように見えて、ほんの少し心がざわついた。


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