海の向こうのことを楽しそうに話すぼっちゃんの横顔から視線を下げて、その手首の冷たい黒鉄を見つめる。
「大丈夫!絶対外すから!」
私が見ていることに気づいたぼっちゃんは、両方の拳を握ってからりと笑う。
「そしたら、なまえも一緒に海に出よう!」
身体の両脇で大人しくしていたわたしの手をとって、ぼっちゃんはきらきらと琥珀いろの瞳をかがやかせる。その眩しさに、わたしは思わず目を細めてしまう。それが微笑んでいるように見えたのか、ぼっちゃんはいっそう笑みを深くした。金剛石がばら撒かれたみたいに、わたしたちのまわりだけ明るくひかっているような、そんな気がした。