お世話になります
“個性”というものは、何でもありなのだろうか。
「いいね!ヒーロー志望大歓迎さ!じゃあ相澤くん面倒見てあげてね!」
「いや、校長。何故俺が…」
「困っている人を助けるのがヒーローさ!君も彼のことが気になって、わざわざ病院まで行ったんだろう?それに相澤くん、一人暮らしだよね!」
「…はぁ…」
ーーーネズミが、喋っている。
あの後、イレイザーヘッド…もとい相澤消太と名乗った男は、盛大な溜め息をついた。
面倒くさいやつだと思われただろうと落胆していると、彼は医師を呼び事情を説明すると、俺はすぐ退院となった。
トントン拍子に進む話に口を出すわけにも行かず、空気を読んで大人しく従うことにした俺は、いつの間にか大きな建物へと連れてこられた。
ーーー雄英高校。
この世界の総人口の約8割が何らかの特異能力“個性”を持つ世の中で、個性の悪用による反社会活動に身を投じる犯罪者勢力を“敵(ヴィラン)”というらしい。
その対抗勢力が“ヒーロー”であり、その養成学科を有する高校の一つが、この雄英高校である。ヒーロー科のある高校では、名の知れた名門校なんだとか。
ヒーロー免許なしにはヒーロー活動ができず、一般人は個性を使ってはいけないらしい。
校長室に連れてこられた俺は、大きなネズミに驚く間もなく椅子に座らされ、相澤さんの報告が始まった。
……このネズミも彼の個性なのだろうか。
全く別の世界に来てしまったのだと、無理矢理にでも自覚させられる気分だった。
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