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水難事故、土砂災害、火事など、あらゆる事故や災害を想定した“ウソの災害や事故ルーム”。
ーーー略して“USJ”
スペースヒーロー“13号”が演習場の説明をする。皆がUSJだと反応しているということは、こちらの世界にもUSJがあるということだ。全く違う世界というわけではないということに、内心少し安心する。
「災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
「わーー私好きなの13号!」
ヒーローオタクの緑谷と13号が好きらしい麗日が声を上げる。
確か、彼の個性は“ブラックホール”という、どんなものでも吸い込んでチリにしてしまうというものだ。その個性でどんな災害からも人を救い上げ、救助するプロヒーローである。
「えー始める前にお小言を一つ二つ…三つ…四つ…」
「(増える…)」
13号は自分の個性は、簡単に人を殺せる力だと言う。俺たちの中にもそういう“個性”を持つ者がいるだろう。
超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているように見える。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っているのだ。
消太さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験した。
「この授業では…心機一転!人命のために“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は、人を傷つける為にあるのではない。助ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな」
《……たすける、ための…ちから…》
「………」
心の中で、守形が呟く。俺は13号の言葉を強く噛み締めた。彼の“個性”の活用は、人を殺めることでも操ることでもない。
守形が望んでいたのは、人を助けるヒーローになること。彼が自分は生きていてもいいのだと思えるように、俺も力を貸そう。
ーーー俺が必要とされる意味は、そこにある。
13号のスピーチが終わり、皆から拍手が起こる。俺も彼のようなプロヒーローから、人命救助を学べるということに拍手を送る。
「そんじゃあまずは………?」
拍手が止むと、消太さんが口を開いた。しかし、彼は何かを察知したのか、噴水の方に目線を移す。
俺はその時、妙な空気の振動を感じ取った。
空間が突然震えたような、そんな感覚。
「消太さ、」
「一かたまりになって動くなッ!!!」
「え?」
「13号!!生徒を守れ!」
消太さんが叫ぶ。皆は呆気に取られた声を上げるが、俺は空気の震える大きさと量、そこから発せられる禍々しい悪意に顔を引き攣らせる。
奇しくも命を救える訓練時間に、それは俺たちの前に現れた。
「何だアリャ!?また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「…違う…っ、あれは、」
「動くな!あれは敵だ!!!!」
「13号に…イレイザーヘッドですか…先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがここにいるはずなのですが…」
「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」
敵の一人が口を開くと、消太さんがぼそりと呟いた。先日のというと、マスコミが侵入したというあの騒動のことだろう。たかがマスコミにあのセキュリティを突破できるとは思えなかったが、それは奴らが手を回していたからだった。
「どこだよ…せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…」
「……オールマイトが、目的…?」
敵の二人の言葉から、目的としているのはオールマイトだ。あのオールマイト相手に、奴らは一体何をしようというのか。
敵の一人、顔や身体に手のようなものを無数に付けた奴が顔を上げる。
「子供を殺せば来るのかな?」
「…っ…!!」
プロが何と戦っているのか
何と向き合っているのか
ーーーそれは途方もない悪意
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