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予選通過者は上位42名。次からいよいよ本戦が始まる。未来のヒーローの卵を記事にしようと、取材陣も白熱してくるのはここからだ。
ミッドナイトが指すモニターへと視線を移すと、そこには大きな文字で【騎馬戦】と映し出されてた。
参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作る。基本は普通の騎馬戦と同じルールだが、一つ違うのは予選の結果にしたがい、各自にポイントが割り振りられており、騎馬ごと総ポイント数が違うというところである。
「あくまで種目は体育祭っぽい…?」
「騎馬戦…!オレダメなやつだ…」
「…確かに、上鳴の個性だとなかなかやりづらいよな」
「そうなんだよ…っ!」
上鳴が騎馬戦という文字を見て項垂れた。彼の個性は味方をも巻き込んでしまうため、団体戦ではなかなか不利なようだ。守形が憑依すれば個性は発動されないが、それでは彼の見せ場も能力も引き出すことが出来ない。
俺にはどうすることも出来そうになく、彼を慰めるように背中を摩ってやるしかなかった。
「与えられるポイントは5ずつ!42位が5P、41位が10P…と言った具合よ!」
「…俺は195Pか」
「そして…1位に与えられるPは1000万!!!!」
ミッドナイトの一言で全員が一斉に緑谷の方を見る。上位の人ほど狙われる…まさに下克上サバイバルなのだ。
自分の勝利がチームの勝利となるこの騎馬戦は、相性や他人の個性の把握が重要となり、将来他事務所とのチームアップやサイドキックとの連携に関わってくる大事な競技である。プロになれば当たり前の生きる術を、今まさに学ぼうとしている。
轟の方を見れば既に輪になって作戦会議をしているところだった。轟のチームは八百万、飯田、上鳴だ。項垂れていた上鳴は上手くチームを組めたようで、こちらに気づけば嬉しそうに手を振ってきた。
よかったなと手を振り返せば、視線を爆豪へと移す。既に彼の周りには人集りができており、一緒に組もうと言い寄られていた。彼のポテンシャルやポイント数から考えても、彼と組もうとする人が多いのは納得出来る。
ーーーバチりと、彼と目が合った。
『…爆豪くんと組むの?』
「いや…勝己とは個性の相性が悪いし、仮に相性が良くても、あいつも俺もお互いに組もうとは思わないよ」
『…!…ライバルだもんね…!』
「ん。だから勝己とも…焦凍とも組まない」
お前には負けねぇぞと念を送れば、爆豪にもその意思が伝わったのかにやりと口角を上げた。そこに切島が声を掛けてきたため、俺達はお互いに目線を外す。
「っ、風間くん…!!」
「…緑谷」
振り返ると1位である緑谷、その隣に麗日がいた。彼のポイントは1000万…誰と組むかは各々の自由だが、全員から狙われるハンデを背負って組もうとする人間は圧倒的に少ないだろう。
「僕たちの騎馬には、機動力とフィジカル強い人が必要なんだ…っ!逃げ切りを可能にする策には、君が…!」
「…なるほどな」
麗日の個性で全員を軽くし、俺の個性で上から切り込む。詳細を聞かなくとも、攻防が共に出来る個性である俺と組みたい理由は明白だった。
「だから、僕と組んで欲しい…!」
「……緑谷、折角声掛けてくれたのに悪い」
緑谷たちに背を向け、俺はその場を立ち去る。
そもそも俺には、既に組もうと思っている人物がいた。予選を通過しているのなら、やはり彼しかいない。
俺は、彼の方へと足を進めた。
「なぁ、あと一人探してるんだろ」
「!…あんたは…」
ーーー紫髪の隈が目立つ、普通科の彼。
「そのひと枠、俺じゃダメか?」
俺に声を掛けられると思っていなかったのだろう。彼は驚いた表情で、こちらを見ていた。
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