05


乾いた空気を纏ったように、肌が逆立った気がした。


「……なん、で…」


ーーー俺じゃない、あの時の男の子だ。
意味がわからない、何故?これは夢だろうか。
そうだ、悪い夢だ。個性なんて、ヒーローなんて、知らない。
知らない、夢なら覚めろ、覚めろ、覚めろ覚めろ覚めろーーーッ!!!!!



思考が定まらず、頭が真っ白になった。途端に自分を纏う空気が、ギュッと縮まった。

圧縮されたような圧迫感を感じ、呼吸が苦しくなり、酸素が足りなくなった頭では何も考えられず、無我夢中で身体から何かを放つ。


次の瞬間、鏡や窓ガラスが割れ、外の風が吹き込んだ。吹き込まれた風は、たちまち吹き荒れ、小さな身体を中心に暴走を始めた。


「きゃぁあっ!!先生!!守形くんの個性が!!」


「守形くん!!落ち着くんだ!!!」


意識は薄れていくものの暴走は止まらない。駆けつけた医師も手が出せずにいた。支離滅裂な言葉を叫ぶ彼の身体を、割れたガラスの破片が切りつけていく。


「ウァぁあッ…!!!違う違う、俺はッ、こんなの、知らないッ、俺は依代姿形なんかじゃ、ないッ、風間、空悟ッ…だ…ッ!!!っあ、ぐ、くる、し、ッ」


ーーー痛い、痛い痛い、苦しい、息ができない。
夢なら覚めろ。覚めろ。
誰か、誰でもいい、

頼むから、なあ、ヒーローが本当にいるなら、お願いだ













「…ッ、たす、けて」


「今、助けてやる…ッ!」


誰かの声がした途端、プツリと音が止んだ。











mokuzi