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青龍の祀り。
内裏を護るように四方を囲むように建てられ、東を護りし青龍を祀る。

弥琴は門の前で馬を止め、風姫をおろすと使いの者に馬を預けた。

「弥琴様…この上巫女があなた様を案内いたします」

風姫に紹介されて巫女式の礼をとった上巫女。

「風姫、そなたの湯あみを覗き…いや見学しても…」

良いかと聞かれる前に風姫は言った。

「弥琴様…そんなことをした暁には我が主である青龍に祟られますよ」

―――風の姫巫女とは、青龍にすべてを捧げた巫女なのだから…

「冗談だ風姫…その恐ろしい笑顔をやめてくれ」

「…それでは弥琴様を神々の間に案内して」

「かしこまりました。姫巫女様。」

何事も無かったかのように風姫は片付けた。
上巫女に案内されて行く弥琴の背に、風姫は姫巫女式の礼をとって見送ったのだった。

(弥琴様……何かすごく嫌なかんじがします…)

風姫は弥琴を想いながら、空を見上げた…。

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