U

次の日。森の奥の湖で、洗濯をしていたくれは。
丁寧に無駄の無い動きでマスターの服を洗っている。

「洗うのはこれで最後...あとは干せばいい」

独り言を呟いて、くれはは木と木の間のロープに今洗った洗濯物を干していく。
するとそこへ、マスターの命令の声が聞こえた...森に侵入者あり。

「マスターの命令は絶対!」

途中の洗濯物をそのままに、くれはは自分の武器である毒爪を召喚して森の中を駆けた。
もうこの森は自分の庭だ。負けるなんて事は有り得ない。

「いた...マスターのためにすべての敵を消します」

瞬時に敵を見つけ、くれはは笑う。敵を倒せばマスターが喜んでくれるのだ。マスターに迷惑を掛けるこの世界の敵をすべて消して...いっそうの事、世界に自分とマスターだけになればいい。

「毒爪・マッドネススペル」

上空に無数に召喚された毒爪が狂気に舞い、敵を襲う。敵は上空から狂気に舞い落ちてくる無数の毒爪に成す術もなく自分の赤を舞い踊らせる。

「私はマスターのためだけに...!」

くれはは無惨な敵を見下ろして不敵に笑うと、瞬時に無表情へと顔を戻す。
誰にも見られるわけにはいかない。自分はマスターの魔法人形なのだかから。



私はマスターの物であり武器であり続けたい。

マスターのためなら私はどんなに卑劣なこともできるから...

どうか、心を持ってしまった...

あなたを愛してしまった私を捨てないで

気づかないでください...


「私にとってマスターがすべてなのです...」



くれはの瞳から、キラキラと頬を伝い落ちた涙...。

[ 47/66 ]
[*prev] [next#]
[戻る]